売り手様は、事業承継にお悩みの運送会社様です。M&Aに関する知識をあまりお持ちでなかったため、M&Aだけでなく、親族承継や第三者承継といった選択肢も含めてご提案いたしました。その後、社長がM&Aを実行する決断を下され、サポートしながら進めていきました。
オーナー様が抱えていた不安や課題は、大きく2点ありました。1つ目は、事業承継がスムーズに行えるのか、期間に関する不安を抱えていらっしゃいました。2つ目は、他の株主様との意思疎通の問題です。社長は他の株主様との価値観に違いがあることを、非常に懸念されていました。
1点目の期間や方法に関する課題に関しては、資料等を用いて些細なことでも詳細をしっかり説明し、納得いただけるまでディスカッションを重ねることを意識していました。
2点目の他の株主様との意思疎通の問題に関しては、社長だけでなく他の株主や少数株主の方々とも積極的にコミュニケーションを取るよう努めました。全体会議の前には、一人ひとりの意思を確認してまとめる役割を担い、円滑なコミュニケーションを意識して動いていました。
印象に残っているのは、株主様の意見調整です。一般的には社長の株主比率が高いことが多いのですが、今回の売り手様の場合は7〜8名の株主がいらっしゃり、うまく分散されている状態でした。そのため、今後の事業展開や会社へ期待すること等に関してそれぞれの意思をしっかり確認し、全員の意見をすり合わせる必要がありました。この過程が非常に複雑であり、最も印象に残っています。
成功の要因は、大きく2つあると考えています。1つ目は、私の強みでもある、お客様の立場に立って考えたことです。複数の株主様がいる中で、それぞれ抱えているものやお考えが異なることは、十分に理解していました。そのため、どのように伝えれば相手に響くのかを深く考え、同じ内容でも相手に応じて言葉を変えながら、コミュニケーションを取ることを心がけていました。これが成功の大きなポイントだったと感じています。
2つ目は、M&Aに関して詳細までしっかりお伝えしたことです。M&Aだけではなく事業承継全般のメリットやデメリットをしっかり資料に落とし込み、整理したうえで説明することで、より納得感のある提案プロセスができたと考えています。
売り手オーナー様が最も満足されたのは、面談やコミュニケーションの機会を十分に設けた点ではないかと考えています。社長をはじめ株主の方々とも、しっかりコミュニケーションを重ねました。一対一での対話に加え、3〜4人規模のディスカッションの場も設けるなど、コミュニケーションに対しては非常に工夫を凝らしました。こうした信頼関係の構築やコミュニケーションを重視する姿勢が、売り手様にご満足いただけたポイントではないかと考えています。
ディールが完了して現在はプライベートでもお付き合いがあり、休日には一緒にゴルフに行くなど仲良くさせていただいています。
私たちは、「信頼関係」や「お客様目線で考えること」を最も大切にしています。近年、M&A詐欺などもあり、少し否定的な見方をされる面もあると思います。しかし、我々は、M&Aだけではなく事業承継全般という意味でお客様に対して寄り添うことができると考えていますし、それが我々の強みでもあります。何かお困りごとがございましたら、ご相談いただけますと幸いです。
弊社は事業承継コンサルティングを主軸事業に据えながら、中小企業のお役に立てるサービスを提供するため、日々新たなソリューションの開発を行っております。
私も前職の三菱UFJモルガンスタンレー証券を退職後、中小企業オーナーに対する総合的なコンサルティングを通じて、社会に貢献することを志し当社に入社しました。
事業承継に対するお悩みを抱えていた運送会社社長への弊社からのアプローチは、M&Aを第一選択肢にした提案ではなく、事業の継続的な発展を支援することを目的としたコンサルティングの提供でした。私は当案件の執行段階から参加し、M&Aによる事業承継を決意した社長のサポートに尽力しました。
50年を超える社歴をお持ちの運送会社は、当初想定以上の簿外資産である含み益を抱えた有価証券や不動産を保有しており、バリュエーションの目線を定める段階においてはかなり慎重に作業を進めていきました。
また同時に、買い手企業とのコミュニケーションを密に行い、案件全体がスムーズに進行するように努めました。
私にとっては入社直後の案件であったこともあり、見るもの聞くもの全てが新鮮であったと同時に、証券会社時代に培った知識や関係構築における基本的な所作については問題なく発揮することが出来たものと自負しています。
案件成立後には、運送会社社長から直々に感謝の言葉を頂戴し、改めてこの仕事に就いたことに対する喜びを感じることが出来ました。