譲渡額
非公表
売上高
非公表

Web広告業界の事例

40代創業社長が業容拡大中のWebマーケティング会社を譲渡

エリア
関東
オーナー
40代
売却検討理由
事業の成長発展
スキーム
株式譲渡

大内 陽平

株式会社サンアドバイザリー

売手様は創業から10年を過ぎ、売上は順調に拡大し、従業員も10人以上の規模になっていましたが、永続的に発展してくための営業面・管理面の体制構築に課題を抱えていました。
買手様は印刷業を祖業とし、今後はWeb広告の分野に注力していく戦略を掲げていました。
売手様はまだお若く会社は順調なこともあり、もし価値観が合うお相手がいれば、急がず慎重にM&Aを進めたいとの意向でありましたが、買手様と時間をかけて複数回の面談を重ねた結果、グループインに至りました。

成長企業の課題ーM&Aを選択した理由

ー案件の概要について教えていただけますでしょうか。

 売り手様は、ウェブマーケティング業界で、SNSの運用をされている会社でした。 売上、利益、財務内容も素晴らしく、右肩上がりで成長していました。社長様はまだ40代のお若い方でしたが設立から10年以上経過し安定している点がスタートアップ企業との違いでした。一方、買い手様の会社は祖業は印刷業ですが、印刷業は年々マーケットが縮小している状況もあり、印刷業からウェブ領域に事業をシフトされ売上規模が約50億円程でした。

ーM&Aに対する不安や課題を売り手様は抱えていたと思いますが、売り手様が抱えていた不安、課題はどのようなものだったのでしょうか?

 業績は順調でしたが、事業が拡大するにつれて、従業員数も増えた結果、営業よりもマネジメントや内部の管理体制の整備に多くの時間を取られてしまうことに成長の限界を感じておられました。これまで順調に成長してきたものの、今後さらに会社が大きくなるためには、経営資源の豊富なしっかりとした規模の会社のグループに入ったほうが、安定して成長できるのではないかとお考えでした。

売り手様が求めた理想の買い手像とは

ー売り手様がM&Aに求めていたご要望はどのようなものだったのでしょうか。

 ご相談いただいた際、売り手様は「仕事が好きなので、引き続き働くことには問題ない」とお話されておりました。一方で、お相手が 社長の交代をご希望される場合は、退任するという柔軟な考えをお持ちでした。それに加えて、売り手様が最も大切にしていたのは、お相手の企業文化や仕事の進め方でした。 売り手様の企業文化を大切にしてくださった上でこれまで通りに業務を継続し、強固な経営体制をお持ちの会社をご希望されており、何より価値観が合うお相手を望んでいると強調されておりました。そのため、売り手様は売却自体を急いではいない状況でしたが、売却の意思は強く、買い手探しについては、慎重に行いたいというご意向をお持ちでした。

ー実際にどのようなアプローチで買い手を探されたのでしょうか?また、重視された点についてもお聞かせください。

 売り手様と協議しながらまずは、同業の大手企業や相乗効果が見込めそうな関連業種の会社をリストアップしました。これらを候補に挙げ、売り手様のお考えをヒアリングしながら買い手の絞り込みをしました。ただ、大手企業の場合、従業員含め自社がグループ内のリソースの1つとして扱われてしまうのではないか、急速に業務が増加した際、従業員が負担や面白みのなさを感じて離れてしまうのではないかとのリスクを懸念して、そのような会社は買い手の候補リストから外して検討しました。
ー最も印象に残っているエピソードについて教えていただけますか?
大内: 最も印象に残っているのは、売り手様、買い手様お互いの価値観を確認することに非常に時間をかけた点です。買い手様も非常に親身に対応してくださり、ご面談を何度も行いました。その過程の中で、お互いの不安を一つ一つ解消しながら信頼関係を重ねていくことができました。

株式会社サンアドバイザリー 大内 陽平 氏

売り手様のご希望を叶えた買い手様の懐の深さ

ーこの案件が成功した要因は、どのような点になるのでしょうか。

 売り手様と買い手様がお互いに価値観が近く、理解し合えたことだと思います。正直、売り手様の個人商店的な要素が多少残っていたこともあり、デューデリジェンスの段階でいくつかのリスクや課題が浮き上がりました。しかし、売り手様ご自身は、その課題・問題点を十分に認識して解決する方策まで示していただき、買い手様も一緒にその解決に向けてリスクを取ってくださる状況でした。その結果、売り手様と買い手様の双方が納得し、様々なハードルを超えて成約まで進められたことが成功の要因となったと思います。これがもし上場会社の場合、解決するまでクロージングができなかったり、リスクによっては許容できないケースもあります。買い手様の懐の深さが、成功の要因として大きかったと考えております。

ー売り手様のご意向を含めて、売り手様が最も満足された点について教えていただけますでしょうか。

 売り手様が最も重視されていたポイントは、「人を大切にしてくれること」だと思います。一緒に事業を進めてきた右腕的なパートナーや、若いスタッフの方々を今後も大切にしてくれる買い手様であるかどうかということが重要でした。デューデリジェンスの段階で、右腕となるパートナー様とも面談を行い、M&Aのお話をさせていただきながら会食をするなど、お互いに理解を深める時間を持ちました。ご希望通り、クロージング後もパートナー様とスタッフの皆様を大切にしてくださったことが、売り手様のご満足に繋がった大きなポイントだったと思います。

ー売り手様とのアフターストーリーがございましたら、教えてください。

 売り手様は引き続き社長としてご活躍されております。売却直後は変化が無さ過ぎて逆に少し不安を感じていた時もありましたが、それは最大限波風を立てないという買い手様のご配慮だったと思います。おそらく時間が経った現在では、買い手様が相互の顧客紹介や、売り手様が手間取られていた経理や人事といった管理業務から解放され売り手様の一番の強みである営業に集中できているのではないでしょうか。
M&A専門業者の幅広さ~慎重に進めたい売り手様へのメッセージ~

ー今後M&Aを考えてらっしゃる企業オーナー様に向けてメッセージをお願いします。

 事業を成長させるために、大きな会社のグループに入るという選択肢があります。その中でM&Aは効果的な選択肢として考えることができます。
 その相談をどのようなM&A専門業者に依頼するかで、スピード感や結果が大きく変わると思います。ウェブ関連業は人気業種ですので、一般的なM&A仲介会社であれば、スピーディーに良い条件を提示してくれる複数の同業の買手企業に打診をして、短期間でクロージングまで持っていくでしょう。しかし、今回の売り手様が嫌がったのは、まさにその点だったと考えております。譲れない条件があり、ご自身のペースで慎重に進めたいという売り手様だったため、弊社を選んでいただいたのだと思います。当社のような慎重に時間をかけて進めることができる珍しいM&A専門会社もあるということを知っていただけたら幸いです。