譲渡額
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売上高
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建設業界の事例

「企業の分社化M&A成功事例 〜建設・不動産管理事業の最適承継とは〜」

エリア
中部
オーナー
非公表
売却検討理由
その他
スキーム
事業譲渡

荒蒔 良和

合同会社ポイントガード

本案件は、もともと従業員承継を希望されていたオーナー様が、さまざまな事情から第三者承継に舵を切ったケースでした。当初はM&Aに対して慎重な姿勢でしたが、売却の選択肢を広げるために「事業譲渡」や「会社分割」というスキームを活用することで、最適な承継を実現できました。

売上20億円規模の企業をそのまま売却するのは難しい状況でしたが、建設部門と不動産管理部門を切り分け、それぞれ別の買い手様に引き継いでいただくことで、スムーズなM&Aにつながりました。また、売却後も従業員の将来を考え、売り手オーナー様が信頼していた部下の方が、買収先の企業で役員として迎え入れられたことも大きな成果のひとつです。

M&Aは単に会社を売却する手段ではなく、事業の継続や従業員の将来を守るための柔軟な選択肢を提供できます。特に事業承継に悩まれている経営者様には、「従来の方法だけにこだわらず、新たなスキームを活用することで、最適な承継が可能になる」という点をお伝えしたいです。事業の継続性や従業員の未来を守るためにも、M&Aの可能性をぜひ一度ご検討いただければと思います。

【事業承継×M&A】売上20億円の建設・不動産管理会社、分社化M&Aで成功へ

 

 - 案件の概要について教えていただけますでしょうか。

 
 
 2018年に成約した愛知県の案件です。売り手様は建設業を営んでおられる企業でしたが、建設部門だけでなく、建設した建物の不動産管理を行う部門も併せてお持ちでした。この2つの事業を持つ企業の売却をご希望されました。 買い手様は、一括でのご購入ではなく、建設部門と不動産管理部門を分け、それぞれ別の買い手様にご購入いただきました。建設部門を譲り受けたのは大阪府の企業様、不動産管理部門を譲り受けたのは愛知県の企業様です。売り手様の規模は、建設部門と不動産管理部門を合わせて年間売上が20億円規模でした。


従業員承継に失敗…「第三者承継」への決断とM&A活用のリアル


- M&Aに対する不安や課題をオーナー様は抱えていたと思いますが、オーナー様が抱えていた不安、課題はどのようなものだったのでしょうか?



 当初、売り手オーナー様は、M&Aを検討されておられませんでした。もともとは従業員承継を考えておられたのですが、さまざまな事情により実現が難しくなり、最終的に第三者への譲渡を決断されました。M&Aを進めるにあたり、オーナー様が抱えていた不安や課題は、M&Aが初めてということもあって、「どのように進めればよいのか」という点でした。


会社ごと売るのは難しい? M&Aで事業譲渡という選択肢を提示


- オーナー様・M&Aに対してどのようなアプローチをされたのか教えていただけますか?



 M&Aは初めての経営者様がほとんどです。そのため、まずはM&Aの全体像をお伝えし、進行の流れや検討すべき事項について詳細に説明させていただきました。「M&Aに対する不安をどのように払拭するか」という点を最優先に考え、情報を段階的に共有させていただきました。 また、今回の案件では、売上20億円規模の会社をそのまま買収できる買い手様が見つかりませんでした。そのため、売却方法の選択肢として、会社全体の譲渡ではなく「事業譲渡」という形で一部の事業を切り出す方法も提案しました。単に「買い手様が見つからない」ではなく、「このような方法なら可能性が広がる」といった選択肢をご提示させていただきながら、オーナー様と共に進めました。

 - 元々、M&Aに対して売り手様が不安を抱えていた中で、事業譲渡という選択肢をご提案したことで、変化があったのでしょうか。



 そうですね。M&Aについて詳しくご存じない売り手様であっても、「会社を売却すること」という認識をお持ちの方は多いです。しかし、「事業譲渡」という言葉を知らない方もいらっしゃいます。売却は会社単位でのみと思われがちですが、実際には事業単位で売買を行うことも可能です。そのため売り手様の選択肢を広げる意味で「事業譲渡」という手段があることを提案させていただきました。
 
 

M&Aで最適な買い手様をマッチング! 2社への分割売却の裏側


- 売り手様と買い手様はどのようにマッチングされたのでしょうか。



 既存のネットワーク情報網を活用させていただきました。加えて、大阪のビジネスパートナーとも連携を取りながら、適切な買い手候補様を探しました。その後、経営者同士で直接お会いいただき、「相性が合うかどうか」を確認しながら話を進め、最終的に2つの案件を並行して進めさせていただきました。


- 買い手様がなぜM&Aを検討されていたのかお聞かせ願えますでしょうか。



 不動産管理会社の場合、同じ愛知県内でのビジネス拡大を目指しており、もともとM&Aに関心をお持ちでした。そのため、本件は買い手様のニーズに非常にマッチした案件だったのではないでしょうか。当時、買い手様は建設部門も所有されておられましたが、「建設部門は不要」とのお考えがありました。そのため、事業譲渡という手法を取ることで、買い手様のニーズに合致した案件として成立しました。M&Aを通じて自社の事業拡大を図りたいという目的があったことが理由のひとつだと考えています。 また、大阪の建設会社が本件を検討された理由は、建設業における許認可の問題がありました。大阪での事業拡大に加え、他の都道府県への進出を視野に入れた際、M&Aを活用し、既存の許認可を持つ企業様を買収することで、新たな市場への展開を効率的に進められると判断されたようです。


- この案件が成功した要因は、どのような点になるのでしょうか。



 典型的なM&Aの手法では成功しなかった可能性があります。そのため、M&Aのスキームを工夫し、段階的に進めることで成功へとつなげる形を取りました。 当初、売り手様は建設部門と不動産管理部門の2つの事業を運営されておりましたが、両方を含めた形での売却では、買い手様が見つかりにくい状況でした。そこで、会社全体を売却するのではなく、事業譲渡…本件は、許認可をも考えた上で、会社分割(建設部門と不動産管理部門を、2つの会社に分ける)という手法を取り入れることで、買い手様のニーズに合った形でのM&Aが実現しました。最初に会社分割を行い、その後、それぞれの会社を買収していただくという「2段階のM&A手法」を用いました。この柔軟なアプローチが成功の大きな要因となったと考えております。


- 売り手のオーナー様が最も満足されたのはどのような点だったのでしょうか。



 もともとはご自身の従業員や部下に事業承継を考えておられたものの、諸般の事情によりそれが難しくなったという背景がありました。最終的に適切な買い手様が見つかったことが、最も満足された点ではないかと思います。また、M&Aのスキームを挟んだ形にはなりましたが、それぞれの事業が適切に分割され、事業が途絶えることなく存続したことも、満足いただいた点ではないかと考えています。


「従業員の未来も守りたい」 M&A後のアフターストーリーとは?

 

 - オーナー様とのアフターストーリーがございましたら、教えてください。


 元々売り手オーナー様の意向としては、自分自身の部下に引き継いでいただきたかった案件でしたが、結果として2社の買い手様に譲渡することになりました。しかし、買収いただいた2社の内の1社である不動産管理会社様に、元々承継して貰うことを望んでいた部下の方を、役員として迎えていただく形で合意していただけました。最終的にご自身の部下の今後についても道筋がついて、M&Aの成約に至ったことが最も伝えたいアフターストーリーです。
 

 

事業承継に悩む経営者様へ―M&Aの可能性を考える重要性


- M&Aをご検討されている方々へアドバイスをお願いします。


 通常の方法では実現できない場合でも、M&A のスキームを交えることで可能性が広がる場合もございます。特に親族内承継や事業承継をお考えの場合で、うまくいかないと感じられた際に、M&Aのスキームを活用することで新たな可能性が見出せるかもしれません。
 親族内承継や従業員承継をご希望でありながら、実現が難しいと感じられた場合、すぐに「売却しよう」という結論に至るのではなく、その前に検討の余地がないかを一度お考えいただくことも有効です。ご相談いただいた際には、M&A を通じて様々な可能性を広げられることをお伝えできればと存じます。