西日本に拠点を置くお菓子を製造されている企業様の案件です。こちらの企業様は、製造から販売まで一貫して行っておられましたが、コロナ禍の影響を含め、業績が悪化しておりました。そのような状況の中、再生型M&Aでのご支援をご希望いただき、弊社にてその実現に向けて取り組ませていただきました。
同じくお菓子業界に関連する企業様で、ECを中心に販売事業を展開しておられる企業様でした。
売り手企業様は、製造から販売まで自社で一貫して行っておりました。課題は大きく分けて二つありました。一つ目は製造面に関するもので、売上の減少に伴い、工場の稼働率が著しく低下していたことです。この稼働率を何とか元に戻したいというお考えがありました。二つ目は販売面です。自社ブランドを保持しておられたことから、「このブランドを可能な限り守りたい」という強いご意向がありました。この二つの課題を同時に解決できる買い手企業様を見つけてほしいというご依頼でした。
再生型のM&Aということもあり、まずは幅広く候補企業様にお声がけする必要があると考えました。結果的に、500社から600社程度に対して、匿名での提案を行わせていただきました。その中から、5社程度の企業様に工場の見学へお越しいただき、工場見学と面談を通じて、売り手企業様の不安や懸念を解消できるかどうかを慎重に見極めていただきました。一方、買い手企業様にとってもブランドが競合しないことが重要でした。例えば、和菓子を中心に展開しておられる企業様が、洋菓子事業への進出を検討しているという背景がある場合などが該当します。また、店舗ではなく、インターネットを活用した販売を主軸としている企業様、今後の成長余地を見込んで工場の稼働率を上げたいというニーズを持っている企業様などがいらっしゃいました。このような観点から、最適なマッチングを意識しました。
一番印象に残っている点は、成約した瞬間です。買い手様として名乗りを上げてくださったのは、EC販売を中心に非常に勢いのある企業様でした。その企業様は、自社で製造していた商品を拡大していきたいと考えており、「しっかりとした製造機能を持つ工場」が必要な状況でした。今回のM&Aによって、それが叶っただけでなく、従業員の雇用も守られましたし、売り手企業様が大切にしてこられたブランドも継続することができました。また、本来であれば責任を取って退任されるのが一般的な中、売り手企業の社長様が「顧問」として引き続き関与される形になりました。自己破産も視野に入っていた状況から、ご希望が叶う形での着地ができたことに売り手様からも感謝の言葉をいただきました。買い手様だけでなく、売り手様のご希望まで叶えることができて本当によかったです。
買い手企業様は関東の企業様だったのですが、当時は東京に1店舗のみの展開でした。ところがM&A後、事業が順調に推移したことで、大阪に2店舗を新たに出店されました。店舗数が増え、事業拡大にも繋がったという話を聞いたときは、本当に嬉しかったです。
売り手企業様からすると、「M&A」は、どこか遠い世界の話のように思われるかもしれません。しかし、私たちがご支援しているのは、まさにそういった中小規模のオーナー様のM&Aです。たとえ財務状況が厳しかったとしても、何かできることは必ずあります。「うちには関係ない」と決めつけず、課題を少しでも感じていらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
技術特化型の小規模企業であっても、買い手のニーズに合致すれば大手とのM&Aは十分可能です。誠実な経営姿勢と確かなスキルが、将来性と信頼につながりました。