譲渡額
~1億円
売上高
非公表

FC(フランチャイズ加盟店)業界の事例

美容サロンのフランチャイズ本部をM&Aで売却!成功のポイントと事業譲渡の裏側

エリア
中部
オーナー
40代
売却検討理由
事業の選択と集中
スキーム
事業譲渡

竹田 里穂

株式会社エムアンドエー・オーシャン

今回の案件は、売り手様が財務整理をしっかり行い、買い手選定に慎重を期したことでスムーズに進みました。M&A成功のポイントは、①早めの財務整理 ②業界知識・運営経験のある買い手の選定 ③移行期間の適切な調整にあります。特に、売却後の円滑な引き継ぎを意識し、売り手様の名前を一定期間残すなど、加盟店や従業員の不安を軽減する工夫が重要でした。近年、M&Aは後継者不足だけでなく、事業の選択と集中の手段としても活用されています。フランチャイズ本部の売却も十分可能ですので、ぜひ一度ご検討くださいませ。

美容サロンのフランチャイズ本部、事業譲渡の裏側!


 ー案件の概要について教えていただけますでしょうか。


  美容サロンのフランチャイズ本部に関する案件です。売り手様の美容エステサロンのフランチャイズ本部は、約10店舗ほど展開されておりました。エリアは東海から関東で、メインは東海地方、直近の売上は約4,000万から5,000万円程度でした。従業員がフランチャイズ本部には約2名在籍されており、売り手様はス―パ-バイザーのような形で運営されておりました。オーナー様の年代は40代で事業譲渡という形で進めさせていただきました。売却理由は、事業の「選択と集中」であり、売り手様は事業の方向性を見直し、より集中できる事業にリソースを割く決断をされました。 譲受企業様は同業の企業様で、フランチャイズ本部の運営の経験がある企業様でした。不動産、介護、フェイシャルエステ事業にも手を広げている買い手様でした。エリアは東京で、譲渡価格は3,000万円の案件でした。譲受企業様は、少し特殊なケースで、個人オーナー様が法人を変更新たに設立しその法人の中で事業を譲り受ける形となりました。個人オーナー様はご自身のキャッシュで購入できる範囲で、余裕を持って支払えるという状況でした。



美容業界未経験のオーナー様がM&Aを選んだ理由とは?


ーM&Aに対する不安や課題をオーナー様は抱えていたと思いますが、売り手様が抱えていた不安、課題はどのようなものだったのでしょうか?


 売り手様は、2年間、美容エステサロンのフランチャイズの本部を運営されていましたが、もともと美容業界にはあまり知識がありませんでした。ただ、本業としてフランチャイズコンサルティング事業をされており、そのノウハウ・経験を活かし、前オーナー様から美容サロンを譲り受ける形で新規事業に挑戦されておりました。将来的に事業を拡大される予定でしたが、実際に運営し進めていく中で、美容業界の専門的な知見がなければ、これ以上の事業を拡大するのは難しいと感じられておりました。そのため、フランチャイズコンサルティング事業に注力することを決断し、美容エステサロンのフランチャイズ本部経営を他の企業様に譲渡されたいと思い、M&Aを検討されました。 


ー売り手オーナー様は元々個人で会社をお持ちで、事業をされているとの事ですが、その新規事業でフランチャイズ本部を立ち上げられた認識でよろしいでしょうか?

 


 その通りです。元々法人をお持ちで、主にフランチャイズコンサルティングを行っている会社様を経営されておりました。この会社様自体は設立から5年ほど経ち、ヘルスケアやライフサイエンス領域を中心に生産性向上をご支援する事業をメインにされておりましたが、その中で新規事業として美容エステサロンのフランチャイズ本部を運営されることになりました。こちらもM&Aで譲り受けられ、譲り受け後、約2年間運営されておりましたが、今後の拡大戦略が描けないという課題をお持ちになり、再度、M&Aを決断されたという流れです。


フランチャイズ本部の譲渡先選び、成功の鍵は経験と信頼

 

ーM&Aに対する不安や課題をオーナー様は抱えていたと思いますが、それに対してどのようなアプローチをされたのか教えていただけますか?また、買い手のオーナー様を見つけられた経緯について教えていただけますでしょうか。

 
    この案件は、売り手様の承諾を得た上で、プラットフォームに掲載して進めました。フランチャイズのオーナー経験を持っている企業様や個人は、実際にはあまり多くないため、間口を広げるという意味でもプラットフォームを活用しました。掲載後、数件のお問い合わせがあり、その中から新規でフランチャイズ本部の運営をされたいという方と、最終的に成約に至った買い手様の2社とトップ面談を実施しました。
 買い手様が選ばれた理由は、フランチャイズ本部の運営経験があることと、さらにフェイシャル系の美容業界に関する知見をお持ちだった点です。この2つが大きなポイントでした。トップ面談の中でも買い手様の知識が会話の中で明確になり、売り手様もその経験と知識に信頼を寄せ、最終的には「この買い手さんなら任せられる」と感じられたのが、マッチングに大きく影響しました。 


 ー売り手様が初めに迷っていました、譲り先に対するご要望について詳しくお伺いしたいのですが、どのような方にお譲りしたいとお考えだったのでしょうか? 


  売り手様は、自分自身の限界を感じておられました。その限界値を乗り越え、突破できるような圧倒的な改善力を持つ会社様に譲りたいという想いをお持ちでした。フランチャイズ本部において、加盟店を増やしていくことは非常に重要ですが、売り手様はそれも限界に達していると感じられておりました。1店舗加盟店の売り上げを伸ばしていくスキームやノウハウにおいても美容業界の知識が不足していると感じられ、どのように売上を拡大するかについて課題感をお持ちだったため、それらを突破できる買い手様にお譲りされたいというお気持ちが強かったようです。 



成功の秘訣は「財務の整理」と「準備の徹底」

 

ー印象に残っているエピソードについて教えていただけますか?また、成功した要因について教えていただけますでしょうか。



 売り手様は、本業のフランチャイズビジネスとフランチャイズ本部のビジネスの財務を切り分けて帳簿管理をされておりました。そのため、事業譲渡を選択する上で、非常にスムーズに買い手様に財務の状況を表示できました。売上や人件費、販管費など全て整理されていたため、交渉もスムーズにが進んだと感じております。

 また、トップ面談での会話が非常に重要でした。売り手様も買い手様もこれまでのことを率直にお話をして頂け、そこでの印象が良かったことがとても大きかったと感じております。金額面に関してはあまり交渉の余地はなく、ビジネス内容が合致し、結果的にはすんなりとご成約に至りました。
 
 


M&A後も成長を続けるフランチャイズ本部の未来

 

ー売り手のオーナー様が最も満足されたのはどのような点だったのでしょうか。

 

   売り手様が懸念されていたのは、事業譲渡後、フランチャイズ本部の運営が変わることで、加盟店・従業員の皆様から不信感を持たれてしまうのではないかという点でした。解決策として、新たな買い手様が売り手様のお名前を代表取締役として半年程残していただくことを前提に、徐々にバトンタッチしていくような方法を取りました。それによって、クライアント様・従業員様への不信感を最小限に抑えることができたことが売り手の元オーナー様にとって、非常に喜ばれた部分だと思います。 また、事業譲渡だったため、全てのご契約の再締結には約3ヶ月を要しましたが、買い手様がエステ業界の経験をお持ちだったこともあり、その間従業員の転籍等の引き継ぎがスムーズに進みました。引継ぎが完了するまでには1年ほどかかると当時予想されておりましたが、現在も新たなオーナー様の下で加盟店も増え続けており、非常に双方にとって有効なお取引だったのではないかと思います。


 ーM&A後のアフターストーリーがございましたら、教えてください。

 

 売り手様は、現在は本業に専念されていらっしゃいます。買い手様はフランチャイズ加盟店を増やし、屋号を継続して使用しながら関東エリアでの出店を増やされている印象です。現在も積極的に事業を拡大されている真っ最中だと感じております。


 ーM&Aをご検討されている方々へメッセージをお願いします。

 

   後継者不足に悩まされている方に加えて、若いオーナー様が選択と集中を進めるためにM&Aを選択されるケースも非常に増えております。後継者不足でお悩みの方向けのウェブサイトとして弊社は情報提供をしておりますが、このような案件のご相談も受けております。
 また、選択肢を増やすために自社の財務状況を整理し、少し前から準備を進めることが非常に重要です。売却されたいタイミングでスムーズな交渉ができるような準備ができていることが、非常に良い結果に繋がると考えております。
 フランチャイズ本部のM&Aに関しては特殊な事例だと思われがちですが、本部経験をお持ちのオーナー様も多くいらっしゃいます。「本部って売れるの?」という声をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、その点に関してもぜひご相談いただければ幸いです。


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