売り手様は個人経営の英会話スクールです。従業員は3-4名で、ネイティブの講師の方と日本人のオーナー様が都内で経営されておりました。生徒様も約200名ほどで、地域に密着した英会話スクールで、売上規模は約2,500万円でした。買い手様は、元々呉服屋を営まれていた会社様でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で成人式が中止されたことや、着物や浴衣といった伝統文化が薄れてきたこともあり、経営に課題を感じられておりました。また、実際に呉服店を経営されていたのは買い手様のお母様で息子様が今後どのように経営を進めていくかという課題を抱えておられました。
息子様が元々英語の教師をされていた背景もあり、今後新規事業を立ち上げる際にも「英語」がひとつのキーになると考えられたようです。そのような背景から英会話スクールの事業に着目し、今回のマッチングに至ったという経緯です。弊社は仲介として関わらせていただきました。
スクールの存続に関する不安や課題を抱えられていました。売り手様は、70歳を迎えられるご年齢で後継者様が不在でした。従業員様は数名いらっしゃいましたが、経営を引き継げるようなメンバーではなく、経営の将来に対して不安を抱えていらっしゃったようです。また、これからも質の高い教育を提供し続けたいという強い想いをお持ちでした。
まず、売り手様からご相談を受けた際に、第三者承継という選択肢があることをお伝えしました。 親族への承継が難しい場合や従業員様に経営を引き継ぐことが困難な場合には、第三者に事業を承継する方法としてM&Aという選択肢があるということを丁寧にご説明させていただき、第三者承継におけるスキームやメリット・デメリットについても具体的にお話させていただきました。また、売却のタイミングについても売り手様がまだお元気で、売上が好調なタイミングでの売却の方がより良い策を見つけやすいという点を重視し、お話させていただきました。初回のご相談から案件化に至るまで約1年間かかりましたが、売り手様にとっては準備期間に時間を充てていただけたのだと思います。
また、今回はプラットフォームを活用して買い手様とマッチングしました。この規模感のM&Aでは、弊社が抱えている買い手様だけでは候補を見つけるのが難しいと感じ、新たに起業を目指されている個人の方や、現在別の事業を営まれている中小企業様など、幅広い層にアプローチできるプラットフォームに掲載することで可能性を広げました。結果として、掲載後に5-6社様からお問い合わせをいただき、その中からトップ面談を経て最適な買い手様とのマッチングが実現しました。
英会話スクールを運営されている企業様は、実はほとんどありませんでした。例えば、IT関連のお仕事をされている会社様の場合、社長様ご自身が英語のノウハウをお持ちで、そのスキルを活かせる業界として英会話教室をご検討されておりました。また、保育園の運営をされている企業様も候補に含まれておりました。全体的に大手企業様の英会話スクールではなく、ハンズオンで一から事業を育てていきたいという企業様が多かった印象です。
「M&Aは小さな会社には難しいのでは?」、「売れないのではないか?」と諦めている方のお声をお伺いすることもありますが、この事例でもお分かりいただけるように可能性は十分にありますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。 異業種間のM&Aも非常に活発化しております。 起業を機にという方もおりますし、0から事業を行うのは、競合の兼ね合い、集客を含め、非常に時間と費用がかかります。地域に密着した歴史ある事業、例えば今回の英会話スクールのような事業には、大きな魅力があり、譲り受けたい会社様もいらっしゃいます。M&Aをチャレンジとして捉え、一度ご相談いただければ、新たな選択肢が増えてくると思います。
また今回のM&Aを通じて、売り手様が大事にしてきた文化やポリシー、スタイルをしっかりと買い手様に伝え、引き継いで頂くことが非常に重要だと感じました。M&Aを単に売買するだけではなく、今まで行ってきたことを次の方にバトンタッチすると捉えていただくと、M&Aのハードルも下がると思います。まずは、ご相談いただけますと幸いです。
株式会社エムアンドエー・オーシャン
今回の案件は、後継者不在の課題を解決し、地域密着型英会話スクールを存続させることが最大のポイントでした。売り手様が早期に準備を進め、M&Aのプロセスをしっかり理解していたことが成功の要因です。また、異業種の買い手様とのマッチングにより、英会話スクールの文化を継承しながらも、新たな経営視点が加わる形となりました。
M&Aを考える際は、①早めの準備 ②財務・契約書類の整理 ③適切な買い手の選定が重要です。特に、英会話スクールのような地域に根付いた事業は、適切な後継者を見つけることで、従業員・生徒様にも安心して引き継ぐことができます。
異業種間のM&Aは増えており、特に新規事業を考える企業や個人にとって魅力的な選択肢になっています。『小規模な事業でもM&Aできるのか?』と不安を抱えている方も、専門家に相談することで、新たな可能性が開けるはずです。M&Aは単なる売却ではなく、未来へバトンタッチする機会として前向きに捉えていただければと思います。