譲渡額
非公表
売上高
非公表

建設業界の事例

事業の承継にお悩みの建設会社社長からのご相談

エリア
関東
オーナー
50代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
株式譲渡

佐野 強志

ヒルズ&パートナーズ株式会社

茨城県に本社を構え土木工事を手掛ける建設会社社長から事業の承継についてお悩みを頂戴したのは、社長が60歳のお誕生日を迎えられた翌日のことでした。それまでにも社内の人事制度の立案やDXシステムの導入といったコンサルティングをご提供させていただき、弊社一丸となってサポートさせていただいていたお客様でしたが、後継者問題に関するお悩みを社長から切り出されたのはその日が初めてのことでした。
65歳までには社長を引退することを考えはじめたとのことで、社長後継者の育成や資産の譲渡といった観点から、初期的な情報提供を速やかに実施しました。
社長後継者となる新社長には、当時専務を務められていた方が内定していましたが、会社株式の譲渡において資金面での問題が発生し、議論が硬直する展開になりました。顧問税理士にもディスカッションに参加いただき、出来るだけ新社長に資金負担のない形で株式譲渡を行う方法を模索しましたが、社長が考える退職金の金額と株式の譲渡価格の目線、新社長が事業の承継にあたって許容できる負担額には大きな乖離があり、議論は平行線をたどりました。
弊社は、事業承継にまつわるコンサルティングをはじめ、人事制度の設計に関するコンサルティング、保険代理店サービスの提供といった幅広いコンサルティングサービスを提供しており、事業承継問題に関してもM&Aを第一選択肢としてご案内することはほとんどなく、まずは社内やご親族から後継者と成り得る方がいないのか、あるいはこれから育成することは出来ないのかといった観点から議論をスタートさせることが一般的です。
私は日本生命において30年ほど事業保険の設計や提案といった、中小企業の財務の根幹に携わる仕事をしてきた経験から、日本国内の働き手の不足や社長後継者の育成が進んでいない現状に対して何か役に立つことが出来るサービスを提供できないかと考え、現在弊社でのコンサルティング事業の責任者を務めております。
会社のことを誰よりも熟知しており土木工事業への誇りもとても高い専務は、新社長への就任には大変前向きであった一方で、株式の譲受にあたって資金負担が発生することに対してはかなり消極的であり、このままでは社長交代がいつまでも実現できないような状況に陥ってしまいました。
何とかこの局面を乗り越える手立てはないかと模索するなかで、M&Aを使った事業承継スキームを社長と専務それぞれにご案内させていただきました。最初はおふたりとも難色を示されたM&Aですが、経営への関与は最小限に留め、あくまで安定株主として会社株式を保有してもらうことを前提に買い手候補のソーシングを実施いたしました。
買い手との交渉についても、弊社と従前よりリレーションのあったファンドが様々な条件を汲んでくださり、比較的スムーズに議論を進めることができました。
足元では、PMIの一環として会社へ訪問しながら、新社長への社長業務の引継ぎといった事業承継のコンサルティングを実施しています。

.「譲渡の壁」——社長と新社長の意見が平行線をたどった理由

- 売り手様が抱える不安や課題に対して、どのようなアプローチをされましたか。

顧問税理士にもディスカッションに加わっていただき、できる限り新社長に資金負担のない形で株式譲渡を行う方法を模索していました。しかし、社長が考える優待退職金の金額と株式の譲渡価格の目線、また新社長が事業の承継に際して許容できる負担額には大きな乖離があり、議論は平行線をたどっていました。

「会社への誇りと資金負担のジレンマ」——専務の葛藤

- 今回の案件で最も印象に残っているポイントを教えてください。

専務は会社のことを誰よりも熟知し、土木工事業に対する誇りも人一倍強い方でした。新社長の就任に対しても非常に前向きな姿勢を見せていたのですが、一方で株式の譲り受けにあたって資金負担が発生することに対してはかなり消極的でした。両極端なスタンスをお持ちで、このままでは社長交代がいつまでも実現できないような状況に陥っていたことが印象に残っています。

ヒルズ&パートナーズ株式会社 佐野強志様

「打開策はM&A」——新たな道を見つけるまでのプロセス

- 今回の案件が成功した要因はどこにあると思われますか。

社長の交代がなかなか進められない状況を打開するために、何か有効な手立てがないかとコミュニケーションを重ねながら模索するなかで、社長と専務に個別でM&Aを活用した事業承継に関してご案内させていただきました。
当初は、お二人ともM&Aに対して難色を示されていました。しかし、経営への関与は最小限にとどめて、あくまで安定株主として会社株式を保有してもらうことを前提に、買い手候補のソーシングを実施したことがポイントとなり、納得いただける形でM&Aを実現することができました。

「売り手が満足したポイントは?」——経営への関与を最小限に

- 売り手オーナー様が最も満足されたポイントを教えてください。

稀なケースかもしれませんが、経営への関与は最小限にとどめ、あくまで株主として会社を保有していただけるような企業を探すことを前提に話を進めた点が、最もご満足いただけたポイントだったのではないかと思います。

「その後のサポート」——新社長への引き継ぎとPMI支援

- M&A後のアフターストーリーをお聞かせください。

現在、PMIの一環として会社へ訪問しながら、新社長への社長業務の引継ぎといった事業承継のコンサルティングを実施しています。

「M&Aは手段のひとつ」——迷っている経営者へのメッセージ

- M&Aを検討されている方へメッセージをお願いします。

弊社は、売却することを目的とするのではなく、M&Aは三方良しにつながる一つの手段と考えています。ぜひお気軽にご相談いただければと思います。社員一同、心よりお待ちしています。