本件は、カレー喫茶1店舗の事業譲渡案件です。元オーナーはIT企業の社長で、知人の依頼を受けて店舗を運営されていました。しかし、飲食業の経験が浅く、店長を知人に任せて営業していたものの、店舗規模が小さく、特別な特徴もないため、長期的に赤字が続いていました。本業とも異なる分野であることから、約3年間の運営を経て譲渡を決意されました。
一番の課題は、黒字化の見込みがないことでした。店舗はもともと蕎麦屋の一角を改装した小規模な喫茶店で、席数は8席ほど。さらに厨房が手狭であったため、近隣の民家を借りて調理スペースとして利用していました。結果として、店舗と民家の2拠点を同時に譲渡する必要があり、契約面や引き渡し条件の調整に注意が必要な特殊な案件となりました。
買い手様が非常にユニークなビジョンをお持ちだったことです。買い手様ご自身が癌を患われた経験があり、食欲が落ちてもカレーだけは食べられたとのこと。調べると、カレーに含まれるクルクミンという成分には高い抗酸化作用があり、癌患者の食事として有用であることがわかりました。
そこで、買い手様は「癌患者向けのカレー喫茶」に特化させたいという目的を持っておられ、その明確なコンセプトがマッチング成功の決め手となりました。
「癌患者向けのカレー店」という尖ったコンセプトで生まれ変わることになり、大きな可能性を感じていただけました。将来性のある方向で発展していくことを期待して譲渡に踏み切られました。
現状では、従来のカレー喫茶として営業を続けつつ、癌患者向けのレシピ開発を進めておられます。特に、持ち帰りや通販が可能なレトルトカレーの製造に注力しており、完成次第、広告や販促活動を本格化させる計画です。
今回は、売り手様と買い手様が将来に向けて共通のストーリーを描ける案件となりました。補助金申請のサポートなども行いながら、今後の事業拡大に向けて引き続き支援を続けていきたいと考えています。
売手様は他の事業が忙しくなり、事業譲渡を望んでおりました。
飲食事業に進出したい買手様が見つかり1か月でクロージングに至りました。