笠間様: 大学在学中より公認会計士の資格取得に向けた勉学に励み、卒業年に公認会計士試験の二次試験に合格いたしました。その後、大手監査法人系の国際税務を専門とする会計事務所へ入所し、約3年半にわたり、国際税務、M&A、組織再編に伴う税務コンサルティングを中心に、主として税務に関するコンサルティング業務に従事しておりました。
また、私の実家は、畳・カーテン・床材などを取り扱うインテリア関連の商社を営んでおり、中国に子会社を有するなど、一定の規模で経営を展開しておりました。しかし、1990年代の金融危機の影響を受け、経営が大きく悪化し、父より財務再建への協力を求められたことを契機に、実家の事業に携わることとなりました。
約5年間、取締役として財務担当を務めたのですが、借入金が数十億円単位と非常に大きく、銀行との交渉や資金繰りに多くの時間を費やすこととなり、金融交渉に追われる日々を過ごしました。最終的には、中国の子会社および関連会社を含め、譲渡可能な資産をすべてM&Aにより売却し、実家の事業を閉じるという決断を下すに至りました。
その後、現在の笠間税務会計事務所を開設し、実家の財務再建に携わった経験を活かして、「企業再生」を一つの専門領域として位置付け、以降、さまざまな再生案件に携わるようになりました。
私の実家のケースにも該当いたしますが、企業再生においては、スポンサー企業への事業譲渡という形でM&Aが関与することが多くございます。こうした企業再生案件に携わる中で、自然とM&A業務にも従事するようになったことが、私のこれまでの経歴に繋がっております。そのため、いわゆるM&A仲介業務を主業務として行っているという認識ではなく、あくまでも再生局面における支援や、それに付随するM&Aのサポートを専門的に手掛けている立場にあると認識しております。
笠間様: これまでに携わった再生案件の件数は100件を超えておりますが、基本的には、「自主再生を実現したい」という想いのもとで取り組んでおります。
実家が商売を営んでいた背景もあり、私自身も経営に携わった経験がございます。そのため、企業の経営者ご自身が自らの手で事業を立て直し、事業の継続を実現されることが、最も理想的な形であると考えております。
具体的には、私は主に財務面を中心に業務を行っていることから、バランスシートの立て直しを通じて債務の削減を図り、財務的な負担を軽減することが、最も典型的な成功の形であると捉えております。
このような企業再生案件には、これまでに20件から30件ほど携わってまいりました。その中で、自主再生が最も理想的な形でありますが、どうしてもスポンサーの導入が必要となるケースにおいては、M&Aが関与することになり、特に旅館やホテルの案件に多く携わってきました。
再生支援協議会が関与する案件においては、スキームの一環として第二会社方式を活用し、スポンサーへの事業譲渡を行うケースや、中国に所在する子会社を譲渡する案件などに携わってまいりました。また、再生支援協議会を介さずに、旅館そのものの再生スキームの中で事業を譲渡する、いわゆる再生に付随するM&A案件にも数多く取り組んでおります。
笠間様: 再生関連のM&Aに数多く関与してきた経験から、再生局面におけるM&Aを強みとしております。単に株式を売却して終了するのではなく、破産法や民事再生法、さらには企業再生税制をはじめとする税務面においても、高度かつ専門的な知識が求められる分野でございます。
加えて、私自身が商売を営む家庭に生まれ、実際に事業に携わってきた経験から、オーナー様や経営者様のお気持ちを深く理解できる点も、私の大きな強みであると自負しております。
笠間様: 再生型M&Aにおいては、正直なところ、その手間に対して大きな利益を期待することは難しいのが実情です。そのため、私にとってはもはや趣味に近い取り組みとなっている部分もございます。利益の有無に関係なく、本来であれば価値があり、存続すべき企業様、特に旅館の案件に多く携わってまいりました。
過去には、約400年の歴史を有する老舗旅館が経営困難に陥った際に、スポンサー企業にご支援いただき、事業の継続を実現したケースがございました。このような案件は、通常のM&A仲介会社では対応が非常に困難であると思われます。
私自身、「価値ある事業」や「旅館というアセットそのもの」を無駄にすることなく存続させていくことが、社会的に意義のある取り組みであると考えております。そのような企業様を存続させること、あるいはそのような企業の経営者様の力になることが、私にとっての大きなモチベーションとなっております。
笠間様: ある旅館の案件では、破産寸前の状況にあり、早急に事業譲渡を実行しなければならない状況でした。しかしながら、クロージング(デリバリー)までに資金が枯渇してしまった場合、M&Aそのものが頓挫する可能性がございました。
いわゆる詐害行為、すなわち他の債権者の利益を不当に害するような状況に陥ると、買い手にとって大きなリスクが生じるため、そのような状態が解消されるまでは外部からの支援も困難であり、売り手側が自力で資金繰りを行いながら対応せざるを得ませんでした。買い手様とデリバリーの日程は既に決まっていたものの、その日まで資金が持つかどうかが最大の懸念点となっておりました。
なお、旅館業においては、かつては現金決済が主流でしたが、現在ではクレジットカードや旅行代理店経由での決済が大半を占めており、売上があっても即座に現金化できるわけではありませんでした。該当案件も夏季の繁忙期で売上自体は好調であったものの、現金として手元に入るまでに時間を要する状況にありました。
この課題を解決するため、決済から概ね3日後には現金が入金される、いわゆるiPad型の決済端末を活用した即時決済サービスを導入するに至りました。しかしながら、当該旅館にはその端末を購入する資金がなかったため、私自身が立て替えて機器を購入いたしました。加えて、現場の従業員の方々が端末の操作に不慣れであったことから、弊社の従業員を現地に派遣し、端末の操作支援や売上処理の実務対応まで行いました。
その結果、資金の早期回収が実現し、なんとかクロージング(デリバリー)まで資金を繋ぐことができました。この案件は、私自身にとっても非常に印象深いものとなっております。
笠間様: 私は仕事が趣味のような人間ですが、若い頃から会計士を志していたわけではなく、もともとは歴史の研究者になることを夢見ておりました。そのため、現在でも歴史の研究は私の趣味の一つとなっております。
歴史は地理と非常に密接に結びついており、文献だけでは理解しづらかった街の発展の背景や、戦の発生理由なども、実際に地形を確認することでその意味が明確になることがあります。旅行も趣味のひとつではありますが、仕事を通じて全国を訪れる機会が多いため、自身の歴史的知識と照らし合わせながら地形を観察することに大きな楽しみを感じております。
笠間様: 企業再生を自身のライフワークと捉えており、今後も一層専門性を高めながら取り組んでいきたいと考えております。近年では、大手会計事務所等においても「再生」という名称のついた案件が形式的に増加しているように感じております。
具体的には、再生のためのデューデリジェンスの実施や、再生計画書の作成といった業務が中心となっており、表面的な関与にとどまっているケースが多いのではないかという印象を持っております。そのような中で、私はより踏み込んで企業内部に入り込み、会社自体を立て直すという、真の意味での再生に今後も注力したいと考えております。
加えて、過去20年の中で観光業との関わりも徐々に増えてまいりました。再生案件を通じてホテルや旅館の支援に携わる中で、自然と観光業界そのものへの関心も高まっております。今後は観光業界に対しても、より深く掘り下げながら関わりを強めていきたいと考えております。
笠間様: 私の立場は、一般的なM&A仲介会社とは異なり、企業再生に特化している点に特徴があります。そのため、他の仲介会社では対応が難しいとされるような案件にこそ積極的に取り組んでいきたいと考えております。他社で対応が難しいと断られてしまった場合でも、ぜひ一度、弊社までご相談いただければと存じます。
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