海外在住の不動産投資家が挑戦!民泊事業を次世代へ引き継ぐM&A
ー案件の概要について教えていただけますでしょうか。
売り手様は、1人法人の不動産投資家の方でした。海外に住んでおり、国内の民泊事業の管理が手に負えなくなってきたため、引き継ぎたいという想いをお持ちであり、最終的に売却のご相談に至りました。買い手様は、20代後半の非常に若い方で、元々ITの人材紹介業を創業されていた方でした。バイアウト直後のタイミングで次の事業を探しており、事業譲渡が成立した案件です。
『民泊事業は売れるの?』不安を抱えるオーナーの課題とその解決策
ーM&Aに対する不安や課題をオーナー様は抱えていたと思いますが、オーナー様が抱えていた不安、課題はどのようなものだったのでしょうか?
この案件はかなり金額が大きいもので、約3,000万円ほどの規模でした。売り手様としては、まず「民泊という業態が正確に評価されて、適切に金額を提示してもらえるのか」といった点に非常に不安を感じておられました。民泊という業態自体がM&Aとして成立するのかという不安感があったのではないかと思います。
ーM&Aに対する不安や課題をオーナー様は抱えていたと思いますが、それに対してどのようなアプローチをされたのか教えていただけますか?
個人的に特に意識したのは、複数の買い手候補様と何度も会っていただいた点です。さまざまな買い手候補様と直接会っていただき、皆様がどのようなご提案を考えているのか、買収後にどう取り組むつもりなのかを売り手様と直接コミュニケーションを取っていただきました。
ー買い手のオーナー様を見つけられた経緯について教えていただけますでしょうか。
ポータルサイトからの流入が圧倒的で、既存のネットワークから多くの反応がありました。弊社ではあまり取り扱ったことがない規模感だったため、当時は既存のネットワークの買い手候補様ではなかなか手が上がらない状況でした。そのため、この案件ではポータルサイトを活用しました。
「減額交渉を乗り越えた理由は?成約に導いた交渉」
ー印象に残っているエピソードについて教えていただけますか?
個人的に重要な局面は基本合意後に必ずあると思っており、この案件においても最後の最後で減額交渉が入りました。減額の交渉要因としては、買い手の会社様側ではロジックが整っている状況でした。買い手様は購入予定の民泊事業の業績が正直あまり良くなかったため、推定売上のシナリオ通りにいかないのではないかという懸念をお持ちでした。そのため、減額をお願いしたいとお気持ちは理解できたのですが、売り手様としては気分の良いものではなく、心情的には難しい部分もあったと思います。
しかし、約3ヶ月から4ヶ月間つきっきりでご支援させていただく中で最後の減額交渉の段階で、まだ成約に至っていないことに対して「これ以上菊池さんに迷惑をかけたくない」とおっしゃっていただき、最終的に成約に至りました。これまでの積み重ねがあったからこそ、最終的に減額交渉についても受け入れていただき、成約に至ったと感じております。
ーこの案件が成約に至った要因は、どのような点になるのでしょうか。
買い手候補様の数が重要だったのではないかと思っております。
ー売り手のオーナー様が最も満足されたのはどのような点だったのでしょうか。
教育移住の一環でオーナー様は元々海外にいらっしゃいました。お子様もまだ小さく、非常に手がかかる時期だったため、民泊事業がご負担になっている状況でした。そこで、3年先の利益を見据えて一度事業から離れる決断をされ、子育てやご家族に集中することができたという点で非常にご満足いただけたのではないかと思います。
「民泊事業から新たな未来へ!売り手と買い手、それぞれのその後」
ーオーナー様とのアフターストーリーがございましたら、教えてください。
売り手様は、順調に教育移住をされ、東南アジアの方で元気に暮らされていると伺っております。買い手様はその後、民泊事業にどんどん進出され、現在では約3件の物件を運営されているとのことです。さらに、現在も物件紹介のご依頼や新たな民泊事業を始めたいというご相談をいただいております。
ーM&Aをご検討されている方々へメッセージをお願いします。
M&Aに興味がある場合、まずは様々なアドバイザーのお話を聞いていただくのが良いと思います。買い手様に関しても、常に1人だけではなく、複数の選択肢を検討することが大切です。 また、価格提示があったから即決するのではなく、実際に自分との相性を見極めることが重要です。そうすることで、より良いディールが成立するのではないかと思います。良い買い手様と良いマッチングをしていただければと思います。
本案件は、海外在住の不動産投資家様が、国内の民泊事業の管理負担を理由に売却を決断されたケースでした。M&Aの選択肢が明確に見えていたわけではなく、「民泊事業は売れるのか?」「適切な評価額がつくのか?」といった不安を抱えながらのご相談でした。
案件規模が大きかったため、通常のネットワークではなく、M&Aマッチングサイトを活用し、多くの買い手候補者との対話の機会を作ることに注力しました。その中で、次の事業を模索していた20代後半の買い手様と出会い、理想的なマッチングへとつながりました。
最も印象的だったのは、基本合意後に発生した減額交渉です。買い手様は、民泊事業の収益性に対して懸念を抱き、減額を希望されました。一方で、売り手様としては長期間の交渉を経てきた経緯があり、気持ちの整理が必要な状況でした。しかし、数ヶ月にわたる信頼関係の積み重ねがあったからこそ、最終的に交渉が円満にまとまり、成約に至ることができました。