譲渡額
非公表
売上高
非公表

建設業界の事例

倒産の危機から再生へ──100億円企業を救ったM&Aの舞台裏

エリア
関東
オーナー
40代
売却検討理由
業界の先行き不安
スキーム
会社分割

朝野 一博

株式会社シードアドバイザリー

原材料費の高騰による資金繰りの悪化で倒産寸前に追い込まれた企業が、「第2会社方式」を活用したM&Aで再生した事例です。1か月という限られた時間の中で、買い手企業の選定から成約までをスピーディーに進め、従業員全員の雇用と企業の存続を守りました。

特に印象的なのは、売り手側の経営者や従業員が新たなスポンサー企業を強く支持し、一丸となって再スタートを切った点です。M&Aは単なる資本の移動ではなく、企業の未来を左右する大きな決断。経営に悩む方は、早い段階で信頼できる専門家に相談し、自社に合った再生の道を模索することが大切です。

倒産寸前からの逆転劇!100億円企業再生の裏側

ー案件の概要について教えていただけますでしょうか。

RCの総合建設業における再生案件です。売り手様の規模感は、進行基準で言うと売上が約100億円、業種は投資用不動産の設計、施工、販売を行われている会社様でした。

ーM&Aに対する不安や課題をオーナー様は抱えていたと思いますが、オーナー様が抱えていた不安、課題、M&Aを検討された背景はどのようなものだったのでしょうか?

物価高騰を受け原材料費が大幅に高騰し、資金繰りが一気に悪化したことに起因しております。この状況を受け、M&Aを検討せざるをえない状況でした。資金調達も間に合わず、原価管理がうまくいかない中で倒産直前の危機が迫っており、支払い先もデフォルトを起こしている非常に厳しい状況でした。

わずか1か月で成約!スピード重視のM&A成功秘話

ーその中でどのように買い手様を探され、それに対してどのようなアプローチをされたのか教えていただけますでしょうか?

オーナー様は自主再生に向けて取り組まれておりましたが、単独ではなかなか難しい状況でした。そのため、外部資本を導入することが重要なフェーズだと考えられておりました。しかし、現状資金を投下しても数十億円という大規模な資金が必要であり、投資に対するリターンも1年や2年では挽回できない状況でした。そのため、法的スキームを活用した再構築計画を立案しました。その際、弊社からご提案させていただいたのが「第2会社方式」です。このスキームを組み立て、スポンサー企業様を見つけるための活動を行いました。
 まずは現状を把握し、スキーム立案後、スポンサー企業様を見つけるための活動にシフトしました。時間的な制限もあり、ご相談を受けてから1ヶ月以内に成約した案件です。希望される買い手企業様が複数社あり、面談実施後最終的に1社に絞って成約しました。

従業員全員の未来を守ったM&Aアドバイザーの使命感

ースピード重視だったことを含めて、最も印象に残っているポイントについて教えていただけますか?

先行しているアドバイザー様がいらっしゃり、基本合意まで進んでおりました。しかし、売り手様にヒアリングした際に従業員様とご家族を守るために進めたい想いがあったものの、強いご要望をお持ちであるスポンサー企業様は、本当に望んでいるお相手ではなく、その状況を乗り越えるために仕方なく妥協しているような状況でした。そこで私は、横串を入れる形で将来的に活動しやすい環境をご提供いただけるような新たなスポンサー企業様を探しました。先行して進められていた会社様がおりましたが、横からその案件を引き継いだ形でした。
 その後、取引については基本的に入札方式を採用し、競り合いが行われました。その中で、従業員全員が私たちのスポンサー企業様と一緒になりたいとこちら側を支持してくださったことが非常に印象に残っております。

ーこの案件が成約した要因は、どのような点になるのでしょうか。

まずは代表者様が我々を支持してくださったこと、次に従業員の皆様も我々を頼ってくださったことです。従業員の方もまた全員で働きたいと全員が一致団結する形となった部分が成約につながった最大の要因でした。

ー売り手のオーナー様が最も満足されたのはどのような点だったのでしょうか。

生活が一部変わった部分もありましたが、報酬を含めて現状維持ができた点が大きなポイントでした。また、数十人の従業員が新しい法人で活躍できる状況を作れた点がオーナー様に最も満足いただいたのだと思います。

株式会社シードアドバイザリー 朝野 一博 氏

第2会社方式で蘇った企業、次のステージへの飛躍

ーオーナー様とのアフターストーリーがございましたら、教えてください。

譲渡後、代表者様も新しい法人で一定のポジションに就き、これまでと同じメンバーと活動できております。譲渡後、対象会社様は清算をしていることもあり、協力会社様がつくかどうかなど様々な問題がありました。仕事はあっても手配がなかなか進まないという状況も続きました。その中で弊社は建設業に特化したM&Aを中心としているため、協力会社様のご支援を行わせていただきました。具体的には、PMIのような作業を行い、代表者様から積極的に連絡を受けて、業者様の紹介をお願いしました。サポートを進めることで、スポンサー企業様に対しても初年度から大きく貢献することができました。現在も積極的に収益が上がり、人材紹介のご依頼をいただき、経営も順調に進んでいる状況です。

再生型M&Aで得た満足、未来への希望を繋ぐ

ーM&Aを検討されている売り手の方に向けて、一言アドバイス、メッセージをお願いいたします。

事業がうまくいくかどうかは、外的要因や見積りのミス、その他さまざまな要因に影響を受けます。経営にはハイリスク・ハイリターンの側面があります。そのため、経営者様には、1人で悩まないでいただきたいと思います。また、ご相談相手を間違えると、最終的に破産に繋がることもございます。再生型M&Aを実施している企業様があること、スポンサー企業様を付けることで個人の与信を維持したまま再出発できることを知っていただきたいです。