譲渡額
~1億円
売上高
非公表

食品業界の事例

後継者難となっていた老舗製菓卸売事業の承継

エリア
関東
オーナー
80代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
株式譲渡

梅津 慎太郎

アーク・パートナーズ合同会社

本案件において私は、売り手オーナー様に寄り添い、事業背景を深く理解したうえで、質の高い買い手探索を行いました。さらに、買い手様のニーズに合致した提案や丁寧なコミュニケーションが、理想的なマッチングと事業規模3倍の成長に繋がったと考えております。
また、M&Aは単なる事業譲渡ではなく、新たな成長や可能性を切り開く選択肢です。
後継者不足や事業縮小といった課題を抱える企業にとって、信頼できるアドバイザーの存在が成功の鍵であることを改めて気づかされました。

後継者不在とコロナ禍の逆境を乗り越える!M&Aに至るまでの背景と信頼関係

ー ディールの概要を教えてください。

  売り手様の業界は製菓の卸売業で、年商規模は約3億円です。買い手様の業界は飲食業界で、当時の年商規模は約5億円でした。

ー 売り手様は、どのような不安や課題からM&Aを決断されたのでしょうか。

  売り手オーナー様が抱えていた不安や課題は、大きく2つありました。 1つ目の課題は、M&Aでよく見られる後継者がいらっしゃらないというものでした。オーナー様は80歳近い方で、後継者がいない中で60年近く続いてきた事業をどうすればいいのか、右も左も分からない状態でいらっしゃいました。 2つ目の課題は、当時はコロナが猛威を振るっていた時期で、事業自体が縮小傾向にあった点です。そこに後継者不在の問題も重なり、オーナー様は「目先が真っ暗」と、不安を口にされていました。 そのような状況であれば、「M&Aという手法があります」とご提案したところ、「可能性があるなら、ぜひ賭けてみたい」とおっしゃっていただき、案件をお預かりすることになりました。

オーナーに寄り添った高品質の密なサポート 

ー そのような不安や課題に対して、アドバイザーとしてどのように対応されましたか。

 まず、大前提として私が仕事する上で最も大事にしているのが、売り手様と買い手様にしっかり寄り添うことです。そもそも信頼がなければ、自身の子供ともいえる企業の譲渡を「(M&Aアドバイザーに)託したい」とは、売り手様も思いません。そのため、まずは信頼を得ることが大事だと思い、売り手様に寄り添い、事業を深く理解することから始めました。 
 具体的には、事業の背景や内容、財務状況などを丁寧にヒアリングしました。また、売り手様が高齢でパソコンの操作に慣れていなかったため、必要な資料は私が作成することにしました。そして、何度も売り手様の近所のカフェを訪れ、お茶をしながら資料の内容をすり合わせ、「これで買い手様を見つけましょう」と話を進めていきました。このような形で、まずは売り手様からの信頼感を得ることを、重視していました。 次に、買い手候補の探索を進めていきました。プラットフォームの活用やテレアポでの営業を通して、「このような売り手様がいらっしゃいますが、いかがでしょうか」とご提案を重ねました。ネームクリアを取りながら、丁寧にアプローチを進めていきました。 手当たり次第にアプローチすることも重要ですが、今回は特にアプローチの「質」を重視しました。具体的には、返答の速さや、買い手候補様が抱える疑問点をしっかりクリアにしながら、求められている以上の回答を提供することで、キャッチボールの質を上げていきました。 
提案型の丁寧なアプローチを行うことで、単に「興味はありません、ごめんなさい」と断られて終わるのではなく、そこからさらにコミュニケーションを重ねて話を深掘りし、提案の質を高めながら回数を増やしていけるように務めました。そして、買い手候補様に興味を持っていただく機会を増やしていけるように、常に工夫して取り組んできました。

ー 買い手様は、売り手様のどこに魅力を感じられてマッチングに至ったのですか。

 買い手様は、売り手様の所在地の近くで飲食店を出店されており、エリアでの相乗効果に魅力を感じられたようです。また、飲食店の運営には食材の調達が欠かせませんが、調達から自社で一貫して行える体制を作ろうと、上流工程への進出を検討されており、タイミングが重なったこともポイントの一つでした。さらに、売り手のオーナー様は素晴らしい人格をお持ちの方で、人柄にも惹かれ、「ぜひ話を進めたい」と前向きな判断をされました。
 

アークパートナーズ合同会社 梅津様

事業規模3倍の成功例!M&Aがもたらした新たな可能性

ー 今回の案件で最も印象に残っているポイントを教えてください

 理想的なM&Aだったと感じています。後継者不足が日本の抱える一つの課題となっている中で、M&Aは次世代へのバトンタッチを実現する一つの鍵になると思います。その中で、今回の案件ではM&Aにより無事にバトンタッチを実現できたうえ、事業規模も3倍以上に拡大しました。   M&Aの一つの成功例として、他のお客様に対しても、「別の業界ですが、このような成功事例があります」と、お話することもありますし、非常に印象に残っております。
 

売り手様・買い手様双方が感じたメリット

ー 売り手オーナー様が満足されたポイントを教えてください。

 満足されたポイントは、大きく2つあります。1つ目は、「本当に理想的なお相手です」というお言葉もいただいており、お相手に対して非常に満足されていらっしゃいます。実は、同じ経済条件で複数の買い手様が手を挙げてくださっていました。その中で、「この買い手様がいい」と、最も理想的だと感じた買い手様を選べたことが、ご満足いただけたポイントの一つです。 2つ目は、経済的な条件面です。ご自身が想定されていた以上に良い条件でお話がまとまったことで、大変喜んでいただけました。 

M&Aを通じて感じる感謝と本当の価値

ー M&A後のアフターストーリーをお聞かせください。

 売り手オーナー様から年に数回、季節の節目ごとに必ずご連絡をいただき、毎年年賀状も送っていただいています。「本当に感謝しています。ありがとうございます」といったお言葉をいただいています。
 買い手様に関しては、少しビジネスライクな表現になってしまいますが、ストロングバイヤーかつ非常に信頼のおける買い手候補様として、現在もお付き合いを続けさせていただいており、常に情報交換を行っています。
 また、今回買収された事業は、買い手様が抱えていらっしゃる事業の中で最も収益率・利益率の高い事業になっています。数字ベースで言うと3倍以上に事業規模が拡大しているとご報告いただいており、大きな成功を収めています。
 

ー M&Aを検討されている売り手様へメッセージをお願いします。

 まずは、話を聞いてみることが大事だと思います。M&Aアドバイザーにはさまざまな方がいるので、複数の方に話を聞いてみて、腑に落ちる話があれば前向きにご検討してみても良いのではないでしょうか。世の中には、皆さんが頭の中で考えている以外の可能性があることもあります。その可能性を消さないためにも、選択肢の一つとして信頼のできるアドバイザーの方に相談してみてもいいのではないかと思います。M&Aは決してネガティブな選択ではないと思うので、ぜひ前向きに検討していただければと思います。