譲渡額
非公表
売上高
非公表

調剤薬局業界の事例

関東の薬局のM&A事例:後継者不在と70代オーナーの決断

エリア
関東
オーナー
70代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
事業譲渡

深江 裕

キングスマンキャピタルパートナーズ株式会社

本案件では、売り手様が負担軽減のために1店舗の譲渡を決断されましたが、買い手様との交渉や予期せぬ問題に直面しながらも、無事に成約へとつながりました。特に、基本合意後に事務員の退職が発覚し、買い手様の不信感を招いた点は、大きな課題でした。しかし、迅速に代替人材を確保したことで、スムーズな譲渡が実現しました。
成功の鍵は、売り手・買い手双方のニーズを的確に把握し、適切な対応を行ったことです。買い手様との信頼関係がもともと築かれていたことも、交渉を円滑に進める要因となりました。
M&Aは、単なる譲渡ではなく、関わる全員にとって最適な未来をつくるプロセスです。本事例が、薬局オーナー様の今後の選択肢を考える一助となれば幸いです。どんな小さなお悩みでも、ぜひご相談ください。

薬局譲渡案件の概要

ー ディールの概要を教えてください。

この案件では売り手様が東京で2店舗の薬局を経営されていましたが、70歳を超えて負担が大きくなってきたため、1店舗を譲渡したいと考えていらっしゃいました。 一方、買い手様は東京で1店舗、名古屋で1店舗を運営されていました。買い手様の方が、売上規模はやや大きくなっていました。

ー 売り手のオーナー様は、どのような不安や課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。

売り手のオーナー様は70代半ばで、後継者がいないことが一つの課題となっていました。また、2店舗を経営されていましたが、両方に力を注ぐのが次第に難しくなってきている状況でした。一方で、完全に薬局業務から離れることには抵抗を感じていらっしゃいました。

そこで、ご自身が薬剤師として携わっている店舗は残し、奥様が経営されている店舗については、奥様が非常にお疲れだったこともあり、譲渡したいというご意向をお持ちでした。

ー 今回の案件を受託された経緯について教えてください。

調剤薬局を買いたいというニーズがあり、 売り手様にお電話を差し上げたところ、「話を聞いてみたい」とおっしゃっていただきました。実際にお会いしてお話を伺ったところ、結構悩まれていらっしゃることがわかり、「実は1店舗の譲渡を考えている」との意向をお聞きしました。

ー 買い手様の探索はどのように進められたのですか。

もともと複数の企業からニーズがあり、それぞれにアプローチを行いました。結果、実際に興味を持っていただき、具体的に交渉を進めることになったのは1社でした。また、私の上司が買い手企業と密に連絡を取っており、信頼関係を築けていたことで、 比較的スムーズに話を進めやすく、買い手様にも受け入れてもらいやすい状況でした。

ー 貴社は特に調剤業界に豊富な実績があり、ネットワークもお持ちのためスムーズに話を進められたのですね。

一から開拓することもありますが、信頼関係がすでに築かれている相手だと、スムーズに話が進むことが多いです。

kingsman capital partners株式会社 深江 裕 氏

ディール成功のカギ 課題と解決策

ー 今回のディールにおいて、大変だったことはありますか。

実は、事務員の方が譲渡の一歩手前の基本合意後のタイミングで、退職することになりました。後になって話を聞くと、「売り手側は事前に退職を知っていたのではないか」と買い手様は疑念を抱いていました。結果的に、売り手様が事務員の退職を把握していた可能性が高かったのですが、もし最初に共有していただけていれば、大きな問題にはならなかったと思います。しかし、退職の事実が後から発覚したことで買い手様が不信感を抱き、一時は破談の危機に陥りました。

そこで、当社も急いで人材会社に連絡を取り、代わりの人材を探しました。最終的に新しい事務員を確保できたことで問題は解決し、無事に譲渡を進めることができました。とはいえ、突然このような話が出てきて、 当社でも迅速に適任者を探す必要があり、非常に大変でした。

ー 今回の案件におけるポイントはどこにあると思われますか。

一つは、先ほどお話したように、当社で迅速に人材を確保できた点です。もう一つは、買い手様を一から探すというよりも、コネクションもあり、当該エリアで買いニーズのある買い手様をスピーディーにご紹介できたことがポイントだったと思います。

ー 売り手オーナー様が最も満足されたポイントを教えてください。

もともと、奥様が業務に負担を感じられており、1店舗を譲渡したいというご意向がありました。無事に譲渡が完了し、現在は奥様も悠々自適なセカンドライフを過ごされていると伺っています。その点で、ご満足いただけているのではないかと思います。

成約後のアフターストリー

ー M&A後のアフターストーリーをお聞かせください。

成約から1か月後に、売り手様のご自宅に招いていただきました。非常に立派なご自宅で、お酒を交えながらゆっくりお話させていただき、その際に感謝の言葉もいただけて本当に嬉しかったです。

M&A検討する方へのアドバイス

― M&Aを検討されている調剤薬局の方へのメッセージをお願いします。

私は、特に福岡への出張が多いのですが、オーナー様とお話する中で感じるのは、多くの調剤薬局がすでにご子息など後継者を決めているということです。後継者が決まっていることは素晴らしいことで、決めた方にスムーズに引き継がれるのが最良だと思います。 一方で、調剤薬局業界の将来が不透明な現状を考えると、「後継者を完全に決めつけてしまうのはどうなのか」と思うところもあります。そのため、後継者が決まっている場合でも、 例えば、情報収集の一環として第三者へのM&Aという選択肢を検討するのは有意義だと思います。また、 後継者を決めてはいるものの、すべての経営負担を一人に背負わせていいのか悩まれる方もいらっしゃると思います。そのような場合、例えば1店舗は後継者に継承し、他の店舗は第三者に譲渡するといった方法も考えられます。様々な選択肢がありますので、不安やお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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