お悩みを頂戴したのは、創業50年を迎えた運送会社の社長からです。足元における運送業での業績は安定しており取引先との関係性も良好、事業自体への不安は全く無い社長でしたが、後継者候補が社内にいないことが社長の唯一の不安でした。
弊社は、事業承継のコンサルティングから人事制度の設計のアドバイス、保険代理店サービスの提供といった様々な事業を展開するなかで、お客様から後継者不足への不安をお聞きするケースも少なくありません。
そのような後継者不足にお悩みのお客様へ、M&Aを第一選択肢としてご提案することはせず今後取れうる選択肢をお客様にフラットにお示しさせていただき、そのなかで弊社がお客様のお役に立てる仕事を探すというのが我々の働き方と言えます。
今回の運送会社の社長との出会いも、M&Aを検討しているのでサポートをお願いしたいという入り口ではなく、社長後継者が不在である状況に対するコンサルティングをして欲しいとのご要望で実現したものでした。
まずは社内の従業員あるいはご親族に社長の後継者と成り得る方がいらっしゃらないのか、今後少し時間を掛けながら育成することは出来ないのかなど、視野を広げた検討を実施するとともに、50年に渡る良好な経営環境の中で蓄積した資本を出来るだけコストを掛けることなく承継することが出来ないのかといった検討を半年ほどの期間を掛けて慎重に検討しました。
このような検討を実施することにより、お客様にこれまでの会社の歩みを今一度振り返っていただくとともに、社内あるいはご親族のご状況についても再認識いただくことが出来ました。
弊社が手掛ける案件では、このタイミングで社内の役員の方へ引き継ぎをご検討される事例や社内にいなかったご子息が戻って来てくれるような事例などもあり、社長がこれまで選択肢として考えていなかった方向へ議論が展開していくケースも多くあります。
一方で、本件の運送会社のように、M&Aによるご売却しか選択肢が残されていないケースも一定数あり、弊社ではそのようなお客様にもご納得いただけるサービスをご提供しております。
私は野村證券の出身で、新卒で支店に配属され約3年間リテール営業で地域の中小企業オーナーを中心に証券営業を行った後に、2020年から投資銀行部門へ異動となり、上場企業へのファイナンスやM&Aの提案・案件執行を行っておりました。中小企業オーナーが抱くお悩みや中小企業の今後の課題、あるいは中小企業オーナーとどのようにして関係構築していくかはリテール営業時代に心得たものです。一方で資本政策や株主構成に関する考え方・M&Aの実務は投資銀行時代に上場企業のM&Aや資金調達を通じて学んだものが素地となっています。
最初はM&Aではない方法を使って事業の承継ができないかと考えていたその運送会社の社長も、我々とディスカッションを重ねていくなかで、M&Aしか今後の選択肢がないことに気が付かれました。後継社長となる方との並走期間を出来るだけ確保したいという思いから、最終的には出来るだけ早くM&Aによって売却したいとのご意向を頂戴し、急ピッチで買手企業のソーシングを実施しました。
業績も良好であった点や今後の事業見通しも堅調であることが見込まれる点を好感いただき、今後の取引先との関係構築についても社長が一定期間継続しながら引継ぎを行うことなどを条件にして、買手企業とのマッチングは当初の想定以上にスムーズに進めることが出来ました。
買手企業とも弊社は従前から良好なリレーションを築くことが出来ており、その点も案件執行をスムーズに進めることが出来た大きな要因であったように感じております。
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