譲渡額
非公表
売上高
非公表

卸売業業界の事例

「次世代へのバトン:成功した事業承継の軌跡と学び」

エリア
北海道・東北
オーナー
60代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
事業譲渡

五十嵐 次郎

ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ株式会社

本案件では、創業者が将来を見据え、事業のさらなる成長と従業員の安定を考慮した上で、第三者への承継を決断しました。売り手様の希望と事業の適正価値のバランスを取るため、粘り強く交渉を続けたことが成功の要因でした。

また、最適な買い手を見つけるために幅広くアプローチし、評価額の折り合いをつけるために戦略的なタイミングで交渉を進めたことが、満足度の高い成約につながりました。

事業承継においては、適切な評価と交渉力が重要であり、そのためには経験豊富なアドバイザーのサポートが不可欠です。今回の事例は、慎重なプロセスと綿密なコミュニケーションが、売り手・買い手双方にとって最良の結果をもたらすことを示しています。

次世代へのバトン:事業承継を決意した理由

ー ディールの概要を教えてください。

今回のディールは事業承継です。オーナー様は創業者として会社を順調に成長させてこられ、従業員の方々も少数精鋭ながら、お客様にしっかり対応できるほどに育ってきている状況でした。
そのなかで、オーナー様は技術者としてまだまだ仕事はできるものの、将来のセカンドキャリアやセカンドライフについて真剣に考えるようになったことが、事業承継を検討されるようになった一つの理由です。
さらに、ここまで成長した会社を引き続きご自身で牽引するよりも、 ある程度事業基盤が整った会社に託し、次の成長を目指すことが、会社や従業員、お客様にとって最良の選択であると判断されました。
こうした背景から、事業承継を真剣に考えるようになり、ご相談をいただきました。

売り手の不安を解消するアドバイザーの提案力

ー 売り手のオーナー様は、どのような不安や課題を抱えていたのでしょうか。

オーナー様はある程度の年齢に差し掛かり、ご自身が引き続き業務を担いながら少しずつ成長を目指すべきか、他の方に事業を引き継いで会社の成長を担っていただくのがいいのか、考えられたそうです。その中で、事業を第三者に承継する選択をされました。

ー そのような不安や課題に対して、アドバイザーとしてどのように対応されましたか。

売り手企業はシステム開発において非常に高い技術力を有し、安定的な収益が見込める事業を展開されていました。そのため、相手先様としては同様の技術に精通している、もしくは同様のスキルをお持ちの方がいらっしゃることが一つの条件でした。また、財務状況が安定していることもあり、一般的な評価額よりも一定程度高いバリューを、オーナー様は希望されていました。
これら2つの条件を満たす候補先の探索は、当初は難航しました。しかし、幅広く情報を収集し、打診を行う方針を立てた上で、プラットフォームを活用しながら候補先へのアプローチを進めていきました。その結果、当該事業が買収方針に合致し、売り手様のニーズにもマッチする会社を見つけることができました。その企業に集中的にアプローチしたところ、無事成約に至りました。


成功の鍵:候補企業の粘り強い探索

ー 今回の案件で最も印象に残っているポイントを教えてください。

買い手候補先の探索は、何度かラウンドを重ねる中で当初想定していたスケジュールよりも少し時間を要してしまいましたが、その間オーナー様とのコミュニケーションを欠かさず、進捗状況を丁寧に報告していました。
想定よりもかなり期間は経ってしまいましたが、売り手様のニーズに合った候補先が見つかり、第一印象も非常に良かったようで、オーナー様には大変喜んでいただけました。その後は残されたタスクを着実にこなし、そのまま一気に最終契約の締結、クロージングができたことが、 最も印象に残っています。

ー 今回の案件が成功した要因はどこにあると思われますか。

オーナー様の思いやご希望の金額と、対象会社の一般的な評価額に差が生じるのは、よくあることだと思います。その中で、オーナー様の思いをできる限り叶えられるように、粘り強く交渉を続けました。
また、事業は安定的に成長していて無理に急ぐ必要もなく、決算も間近に迫っていたため、決算の実績が出たタイミングで改めて買い手候補先へ打診を行いました。このように、売り手様が最も高い評価を得やすいタイミングを見計らってアプローチを行えたことが、成功のポイントだったと考えています。

ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ株式会社 五十嵐 次郎 氏

満足度の高い成約を実現した理由

ー 売り手オーナー様が最も満足されたポイントを教えてください。

売り手様が希望されている条件は、一般的な評価額とは少し乖離がありました。しかし、幅広く買い手候補先にアプローチを行い、粘り強く交渉を続ける中で、ご希望通りの条件で成約できたことが、最も満足されたポイントだと思います。

ー M&A後のアフターストーリーをお聞かせください。

売り手様、買い手様の双方から、満足して取引を終えられたと伺っています。特に買い手様については、本件の交渉や調査、最終契約の締結等において想定していた事業価値や事業の見通しが、契約前に入手した情報や把握した実態と実際に事業運営を担う中で大きく変わりはなく不足の情報もなかったとのことです。十分に検討した上で事業を引き継ぐことができたため、買い手様には非常にご満足いただいています。 この成功を受けて、新たにご依頼もいただいている状況です。


未来へのメッセージ:M&Aを考える方へのアドバイス

ー 今後M&Aを検討されている売り手様にメッセージをお願いします。

売り手様にとって、対象事業の価値評価は非常に重要なポイントになると思います。一般的な評価方法からすると、希望額が高く映ることもあると思いますが、 それを実現する方法や手法はいくつかあります。
ただし、実際の事業価値から大きく乖離した高額な評価に固執すると、成約に至るのが難しくなることもあります。一方で、過度に保守的になるのは、もったいないです。
大事なのは、適切な価格設定や、それを合理的に説明することです。そのため、事業承継をお考えの方は、M&Aの経験豊富なアドバイザーに相談されることをお勧めします。