「競争環境の変化に挑む：法人サービス業のM&A成功事例とその戦略」

IT時代の挑戦を超えて：M&Aを通じた事業承継の鍵

ー ディールの概要を教えてください。

売り手様は、法人サービス事業を行っている会社です。現在はしっかりとした事業基盤を確立されていますが、昨今のITやWeb、AIの隆盛により、業界内でのポジションは大きく変化しつつあります。こうした状況を踏まえ、将来的な事業ポジショニングを検討する中で、有力な事業者と一緒になって事業を引き継ぐことを具体的に検討したいとご相談いただきました。

競争環境の変化にどう対応する？売り手オーナーの課題と解決策

ー 売り手のオーナー様は、どのような不安や課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。

現時点では、当該法人サービス事業は顧客から支持を受け、 高い技術を持つ従業員や外注先のパートナーもいらっしゃいます。しかし、当該法人サービスは特に品質面でIT分野と競合するところがあり、今後もITやAIの進化がさらに加速することが予想されます。売り手様は、比較的高単価の案件を受注してきましたが、代替サービスとなるIT事業と比較する中で、競争環境が変わり自社の競争力が低下してしまうのではないかということを経営課題に感じておられました。

買い手からの熱い反応！適切な株価設定と情報開示の効果

ー そのような不安や課題に対して、アドバイザーとしてどのように対応されましたか。

事業承継とM&Aをご検討されているとのことで、 改めて事業や事業基盤、顧客基盤を拝見させていただいたところ、同業者や周辺業種の事業者様から見て非常に魅力的な、長年の業歴に基づく強固な顧客基盤をお持ちでした。具体的には、大企業や大手研究機関、公的機関など、非常に信用度の高い顧客を多数抱えていらっしゃいました。そこで、こうした顧客基盤に魅力を感じ、同様の法人サービスを展開する事業者がいるという仮説を立てました。決して事業規模は大きくない中で、幅広くニーズを探るために、これまでに得ていた買い手ニーズだけでなく、M&Aプラットフォームを積極的に活用して情報収集や打診を行い、買い手候補の探索を進めました。

ー 今回の案件で最も印象に残っているポイントを教えてください。

最も印象に残っているのは、当該法人サービス事業がITやAIの隆盛により厳しい競争環境に置かれていたにもかかわらず、いざマッチングプラットフォーム等を活用すると非常に反応が良く、多数の買い手候補先様から提案をいただいた点です。その理由として、まず売り手様が顧客基盤を含め優良なリソースをお持ちだったことが挙げられます。また、売り手様と対象事業の事業価値や株主価値について議論し、 適切な株価設定を行うことができました。 適切な株価を設定をして買い手候補先様にご提示したことも、多数のご提案いただけた理由の一つになったと思います。適切な株価設定と情報開示が非常にうまくいったことが、本件の成功につながったと思います。

案件成功の秘訣とは？初期対応と強みの明確化がもたらす効果

ー 今回の案件が成功した要因はどこにあると思われますか。

今回の案件が成功した要因は、対象事業の初期検討と実態把握が非常にスムーズに進んだことです。オーナー様との面談、実態把握の過程において、対象会社の財務、経営、事業に関する情報をきちんと整理した形で提供いただいたことで、初期対応を円滑に進めることができました。
その結果、対象会社の強みをより適切に、明確に把握でき、買い手候補に対して効果的に提案することができました。この点が成功の要因の一つであったと考えています。

ー 売り手オーナー様が最も満足されたポイントを教えてください。

初期対応や買い手候補先様への打診を円滑に進められたことにより、当初のスケジュール通りにプロセスを進めることができました。また、複数の買い手候補先様から、当初想定していた条件を満たすご提案を多数いただくことができました。オーナー様との打ち合わせで決めたスケジュールと経済的条件を確保した上で案件を進めることができた点を、 高くご評価いただけたのではないかと思います。

M&A後の未来を築く：売り手・買い手・従業員の満足を目指して

ー M＆A後のアフターストーリーをお聞かせください。

従業員の皆様が安心して業務を継続できるような形でご説明を行えるように、クロージングのタイミングとPMIの対応に関してアドバイスをさせていただきました。その結果、従業員様やクライアント様への説明をスムーズに進めることができたと思います。買い手様・売り手様の双方に非常にご納得、ご満足いただき、事業の承継を終えることができたのではないかと思います。

ー 今後M＆Aを検討されている法人サービス業の売り手様にメッセージをお願いします。

法人サービスと一言で言っても、本当に様々なものがあると思います。高い技術とスキルを持つ法人サービスであっても、ITやWeb、AIの進化によって競争環境が変化し、その強みや競争力が徐々に失われていくと思われがちですが、決してそんなことはありません。専門性が高い強みを持つ業種や、有利な顧客基盤を持つ業種は、同業他社から非常に魅力的な経営資源を保有しているように見えています。事業承継にあたっては、その強みをどのように活かすかがポイントとなります。その中で一つの有益な手段となるのが、M&AアドバイザーやM&Aプラットフォームの活用です。事業承継を具体的に考えていく中で、経験豊富なアドバイザーへの相談やM&Aプラットフォームの活用は非常に重要なポイントになってくるのではないかと思います。