若手経営者様のECサイト売却事例

キッチン用品ECサイトのM&A成功事例

-案件の概要について

 売り手様は、キッチン用品のECサイトを運営している会社様でした。売り手オーナー様は40代と若い経営者様でキッチン用品に愛着があり、売り上げは約1億円で従業員が10名弱いらっしゃいました。 買い手様は、生活雑貨卸売業の会社様でした。売り上げは約30億円と大きかったのですが、法人顧客が中心で個人のお客様がついていないという課題がありました。 

マッチングの要因：ビジョンの一致

－どのように買い手様とマッチングしたのか教えてください。

 3社の買い手候補様がいらっしゃいましたが、結果的には、金額が一番低い買い手様と成約しました。売り手様の手取り額にすると倍くらいの開きがありました。 売り手様が売却を決断された理由としては、他2社の買い手様候補様が他業種であったということです。また、自社の商材を売るためにECサイト事業の譲受を検討している感じが見え隠れしていたとも仰っていました。 成約した買い手様は、「キッチン用品を多くの方にお届けしたい！」という価値観をお持ちで、この点が成約に至った大きな要因になります。 将来のありたい姿やビジョンが一致していたので、話し合いは最初から最後まで、和やかなムードで進んでいきました。売り手様はこの買い手様と組んだら世界展開もできるのではないかという期待感も広がり成約につながったのだと思います。

印象深い漫画のようなM&Aの実現

-この案件で印象に残っているポイント

問い合わせをいただいた時まで遡りますが、買い手様は、私の書いていた漫画「ロマンとソロバン」のようなＭ＆Ａがしたいとご相談いただいたことです。具体的には、「譲渡金額だけではなく、事業への想いを共有しながら事業をやっていくパートナーを見つけたい」という趣旨のご相談です。漫画のセリフにもありますが、「難しいことだと思いますが、社長次第です」とお答えしました。 前述した通り、この案件は買い手候補様が複数おり、売り手様は最終的に提示した提示価格が一番低い買い手様と成約されました。一般的には、高い金額で売却したいと考えるのが普通です。しかし、成約された買い手様は売り手様に対して純粋に「キッチン用品を多くの方にお届けしたい！」いう思いを伝えることで、引退を考えていた売り手オーナー様に対して「M&A後も会社に残り一緒に事業をやろう」「夢を実現するパートナーになってください」と口説きました。結果的に、売り手オーナー様にも買い手様の気持ちが伝わり漫画のようなM&Aを実現できたのが印象に残っています。個人的にも、金額だけではなく売り手様買い手様の思いを共有したM&Aをご支援することができアドバイザー冥利に尽きる案件であったと感じております。

成功のカギと買い手様の満足した点とは

-この案件が成功した要因は何だったでしょうか

 このM&Aが成功した要因には、単に金額だけに囚われず、本当に実現したいことを軸に考えることができたからだと思います。競合他社が提示する金額に差があったとしても、企業が持つ可能性や実現可能な事柄に焦点を当てることで金額以上の価値を見出すことの重要だと感じることができた案件でした。  

-改めて振り返ってみて買い手様がもっとも満足した点は何でしたか？

 買い手様は、個人の顧客にどのようにアクセスするかが長年の課題でした。今回のM&Aで課題であった個人顧客に対するアプローチの問題を解決できたというところが買い手様が最も満足された点でした。 

-M&Aアフターストーリーについて教えてください。

 売り手様は法人の顧客が増え、海外への販路拡大も見えてきた事例になりました。また、Ｍ＆Ａ実行後も売り手オーナー様は会社に残っています。買い手様から一緒にやっていきましょうということになり、現在でも非常に円満に業務を行っているケースになります。 

-同業でM&Aを検討されている方へのメッセージ

 M&Aは成約後売り手の社長様が会社に残るケースは少ないと思われがちですが、売り手のオーナー様が会社に残って、買い手企業とともに事業を継続していくケースもありますので、経営に不安を抱えられている経営者様はM&Aを一つの選択肢に入れて頂きたいと思います。