譲渡額
非公表
売上高
非公表

製造業界の事例

【自動車部品製造業売却】ドクターストップ!社長の病気が理由で会社を譲渡するM&Aディールの難しさとは

エリア
中部
オーナー
50代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
株式譲渡

磯村 崇

株式会社コスモスコンサルティング

この案件では、経営者様のご健康問題がきっかけとなり、早急な対応が求められました。売り手オーナー様が私たちを信頼し、難しい状況の中でも協力していただいたことで、最適な買い手様とのマッチングが実現しました。

特に印象的だったのは、オーナー様が社員の方々を家族のように大切に思われていたことです。その想いを尊重しながら、企業の未来を託せる相手を見つけるために、一緒に悩み、考え抜きました。

この経験から、経営者の皆様には早めの後継者問題の検討や、M&Aの準備を進めていただく重要性を強く感じました。体調を崩されてからでは選択肢も限られてしまいます。企業の持続的な発展と社員の方々の安心のためにも、早期のご相談をお勧めいたします。

オーナー様の急病から始まるM&A事例:自動車部品メーカーの挑戦

-案件の概要について

 売り手オーナー様が体調を崩されて、ご依頼いただいた案件になります。売り手様は、自動車部品の製造業を営んでおり、売上が50~60億円で利益が5~6億円と財務的に非常に優良な会社様でした。売り手企業様は、当時の経営者様に引き継いで数年で、病気が発覚しドクターから治療に専念するべきとドクターストップを受けている状況でご相談を頂きました。買い手様は、ファンド様になります。


買い手様の選定アンコウとファンド譲渡への決断まで

-案件を進めるうえで難しかったポイントは?

2点ありました。1点目は、売り手のオーナー様がご病気であったということです。売り手オーナー様が病気であることを交渉の初期段階でお伝えしてしまうと、買い手様に事業の引継ぎにおける不安が生じてしまいます。そのため、どのタイミングでお伝えするかは熟慮しました。2点目は、会社のことを一番理解しているオーナー様がご病気であったということで、ヒアリングが困難ということでした。体調の良いタイミングをうかがいながら、会長様や他の役員様からもヒアリングを実施して、会社に対するおもいや方向性を確認していきました。 

-この案件で特に印象に残っているポイントや重要な局面はありましたか。

買い手様を決定するプロセスが印象に残っています。とても特殊な業態を取っており、自動車大手の企業様と幅広く取引をしていたため、どこかの傘下にグループINして売上が減少することが懸念されていました。また、同業でこの規模の会社様を譲受できる企業様は限られていたところから、買い手候補様は限定されました。その中で、自動車業界以外でシナジーが期待できる企業のロングリストを作成し、100社ほどご提案したのですが、買い手様が見つからず苦労したことを記憶しています。初期段階において、売り手様は売上規模があり、買い手様はファンドしかないとご提案したのですが、売り手オーナー様はファンドには譲渡したくないという意向でした。オーナー様は社員のことを家族のように想っており、ファンドに譲渡すること=「身売りした」と考えていたからです。その後、なかなか見つからない中で、引き継ぐ相手はファンドしかいないのでは、ということにご納得いただきました。 

-どのように買い手様が決まっていったのか教えてください。

売上が大きく、譲渡価格も高くなる為、最終的には数社のファンドとお話することになりました。ファンドということで、相乗効果が一番発揮されそうで、かつ従業員にとって一番理解が得られそうな日系大手企業が組成したファンドを候補先として選定することになりました。 

信頼関係が生んだ成功要因:アドバイザーとの絆

-この案件が成功した要因は何だったと思いますか。

私たちを頼り・信頼していただいたことだと思います。買い手候補様が見つからない中で、最終的にファンド様に絞っていく過程やファンド様の選定では、こちらの情報をもとにしながら「磯村さんならどこがいいと思いますか」という風に私どもに委ねていただくことも多くありました。時には意見のぶつかり合いもありましたが、互いに何でも言い合える関係を構築したことで、案件が成約にいたったのではと思っております。


後継者問題から学ぶ教訓:早めのM&A準備の重要性

 -アフターストーリーがありましたら教えていただけますでしょうか。

売り手様は、ご病気をされていましたが現在でもご存命で、会社も成長を遂げています。オーナー社長は、「あの時、会社を譲渡する決断をして良かった」と感謝いただいています。また、買い手様に置かれましてはファンド様ということもあり今では別の企業様に売却して、その後も新たなM&Aを実施して引き続き取引をしている状況になります。 

-この案件からの教訓を教えてください。

社長様が体調を崩されてから、後継者を探す際には引継ぎが大変であり、買い手企業様にもご検討いただけないケースが多々あります。ご健康である社長様に関しても、体調を崩されてからでは遅いということもあるので、M&Aの準備や後継者を探すことをお勧めしております。