譲渡額
非公表
売上高
非公表

医療/福祉業界の事例

訪問看護事業の成功事例:売り手と買い手の文化の融合がもたらす安心感と成長

エリア
関東
オーナー
非公表
売却検討理由
その他
スキーム
事業譲渡

今回の訪問看護事業のM&A案件において、最も難しかった点は、売り手と買い手の経営理念や文化の違いを調整することでした。売り手の強い思い入れを尊重しつつ、買い手のシステム化された運営方法との調和を図ることが求められました。しかし、この難題をクリアすることで、売り手のオーナーや従業員も安心して事業を譲渡でき、買収後の運営がスムーズに進行した点が印象的でした。

成功の鍵は訪問看護事業の売り手・買い手企業の背景にあり!


― ディールの概要を教えてください。

 売り手様は月商2000万~3000万円規模で事業をされており、 オーナー様は訪問看護以外に不動産も少し手がけられていました。訪問看護事業を立ち上げられたのは、ご家族が訪問看護を利用するようになったことがきっかけでした。訪問看護が今後国としても注力していく分野だと知り、「多くの人にこのようなサービスを届けたい」という思いで事業を始められたそうです。 事業開始から約3年を経て黒字化には成功しましたが、その間に看護師の退職が相次ぎました。キャッシュも限界にきており、採用や教育にかかるコストを考えた時に、「このまま事業を続けていても、良い方向には進まない」と感じるようになったそうです。そんな矢先に、看護師さんからまた退職の申し出があり、「このタイミングで売却をしよう」と、訪問看護事業からの撤退を決意されました。  

売却の理由と撤退決断:成功へのステップ

 

― 売り手のオーナー様は、どのような不安や課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。

 事業規模が非常に小さく、年商で言うと200万円程度でした。ギリギリ黒字になるようなラインで、利益はほとんど出ていない状況でした。売上も小規模で、「買い取ってくれる先があるのか」という点に不安を抱えていらっしゃいました。 

― そのような不安や課題に対して、どのように対応されましたか。

  訪問看護の場合は「従業員の方がある程度いる」、もしくは「売上がある」「地域のケアマネさんと連携できている」などのポイントをクリアすれば、小規模でも売却することは十分に可能です。また、売り手様の事業所は東京23区内にあり、小規模でも赤字でも買収を検討する買い手候補様は数件頭の中に浮かんでいました。 そのため、オーナー様には「おそらく買い手はすぐにつくので、お気持ちが固まっているのであれば、すぐに進めていただくことは可能です」とお伝えしました。 

― 今回の案件で最も印象に残っているポイントを教えてください。

  買い手様は上場企業の子会社で運営自体はしっかりされていました。一方で、売り手様は個人オーナーで、ご家族も利用されていたことから、事業には強い思い入れをお持ちでした。また、「ご自身で色々やりたい」というお考えのもと運営をされており、買い手様企業の文化に違いを感じました。そのため、この点はしっかりとすり合わせを行わなければ、後々従業員の離職に繋がる可能性があると思い、重点的にお話させていただきました。 

MTPC 酒詰様

 マッチングの秘訣:成功に導いた要因とは?


― すり合わせの際は、具体的にどのような話をされたのですか。

 酒詰様:  買い手様の現場の方には、何度かお越しいただきました。 買い手様も看護師であり、「利用者様に対して質の高い看護を提供したい」という思いをお持ちでした。そのため、思いの部分に対しては、「現場ごとにしっかりと思い持って取り組んでいただいて大丈夫です」とお伝えしました。売り手のオーナー様も強い想いを持って事業を運営されていましたが、 非効率になっている部分も多く見受けられました。その点については、買い手様はシステムを導入して運営されていることを説明しながら、「この部分は省いても大丈夫です」とご納得いただけるまで、何度かお話をさせていただきました。その結果、無事に成約に至りました。 

― 今回の案件が成功した要因と売り手オーナー様が最も満足されたポイントを教えてください。


成功した要因は、買い手様の規模が大きく、安心感につながったことです。この点が、売り手オーナー様の満足されたポイントにもなりました。売り手オーナー様は、経営についても従業員に対してしっかり話をされていました。買い手の規模がこれだけ大きいと、「安心して譲渡できるから、向こうの方がいいよ」と話しやすかったそうです。買い手様の規模が大きく、売り手のオーナー様も従業員も、「ここなら安心してお渡しできる」と思えたことが、成功の要因でした。 

M&A後の成功ストーリー:従業員の満足度向上と事業の発展


― M&A後のアフターストーリーをお聞かせください。

酒詰様: 買い手様と売り手様はそれぞれ事業所をお持ちですが、近いエリアに位置しており、職員様同士も交流しやすい環境が整っていました。買い手様の従業員は看護のノウハウに長けており、売り手の職員の方は「困ったことがあれば、すぐに相談して解決できるようになった」と満足されています。また、買い手様もエリアが広がり、事業の面白みが増したことに満足されています 

― 訪問看護業界でM&Aを検討されている方へメッセージをお願いします。

  訪問看護業界は、今回のケースのように「小規模の訪問看護ステーションでギリギリ黒字を維持している」、あるいは「訪問看護ステーションの人員基準の常勤換算2.5名以上を割ってしまうような状況である」といった小規模案件でも、買い手がつきやすい業界となっています。実際に、買い手様からも「小規模案件でもご紹介ください」というお話はたくさんいただいています。廃業という選択肢を取る前に、小規模な案件でも、ぜひお気軽にご相談ください。