売り手様は事業を拡大して事業所を2事業所に増やし、そのうち一つの事業所の運営を訪問看護の管理者に任せていました。2年ほど運営されていたのですが、もう一方の事業所と異なり目の届かないところで運営していたため、非常にご苦労されていました。当初は、2つ目の事業所になると手が離れて、運営もスムーズに進んでいくと思われていたそうです。しかし実際は、看護管理者さんも責任者も1人で運営することへの不安を抱えており、本社に頼りきりになり運営が思うように進まない状況でした。そのため、当初の1つの事業所のみで運営を続けるため、2つ目の事業所は切り離して事業を譲渡したいとご相談をいただきました。
「売却できるのか」ということを不安に感じていらっしゃいました。また、一つ目の事業所と二つ目の事業所の距離がそれほど離れていなかったため、業界の特性上、二つ目の事業所を売却することで本社に悪影響が及ぶのではないかという懸念も抱かれていました。
「売却のアプローチ:連携を強化した戦略的な取り組み」
二つ目の事業所に関しては、切り離したいものの、今後も連携はしていきたいとのご意向がありました。そのため、地域のケアマネジャーさんや病院に対しては、既存事業所が今後も存続していく旨をお伝えいただきました。また、売却する事業所に対しては、スパっと切ってしまうのではなく、「売却に至ったのは手が届かなくなったことが理由であり、責任は売り手様側にある」点をご説明いただきました。売り手様にも買い手様にも説明にご協力いただき、「双方にメリットのあるM&Aができる相手を探しましょう」というお話をさせていただきました。
最も印象に残っているのは、売り手様の不安を払拭できたことです。運営がうまくいかず、売上や利益も思うように上がらない中で、「どの程度の金額が出てくるのか」「そもそも売れるのか」と大きな不安を感じていらっしゃいました。オーナー様ご自身は「価値がないのでは」と感じておられましたが、実際は売上規模もあり従業員もいて、しっかり運営はできていました。また、地域の方からも厚い信頼を得ていました。そこで、「こうした点をしっかりと評価をしてくれる買い手先があります」というお話をしてオーナー様にもご理解いただき、廃業にせずに進めていけたことが印象に残っています。
買い手様は訪問看護事業のM&Aを何度か経験されており、売り手様が抱える不安を十分に理解されていました。経験を踏まえ、トップ面談や事前の打ち合わせで、売り手様が気にされているポイントについて丁寧にお話いただけたことが、成功の一つの要因となりました。看護師が中心の事業であり、売り手様は「従業員が辞めてしまうのではないか」という点を特に心配されていました。その中で、買い手様も一緒に従業員説明会で一人一人と面談していただけたことが、成功した要因であり、売り手オーナー様にご満足いただけたポイントです。
買い手様は複数の訪問看護事業所を運営しており、M&Aによって大幅に業務が効率化できました。これまでは目が離れてしまい売上げをなかなか上げきれずにいましたが、M&A後は売上もしっかり向上しています。
事業所を複数運営されており、「この事業所だけ切り離したい」「うまくいってない特定の事業所だけ切り離したい」といったケースでの成約実績もございます。こうしたお悩みがありましたら、ぜひご相談いただければと思います。
この案件では、2事業所目の運営困難を解消するための売却が成功しました。売り手の不安を払拭し、買い手との信頼関係を築くことで、スムーズな取引を実現できました。買い手の豊富な経験と丁寧な対応により、従業員の満足度も向上し、事業の発展が見られました。訪問看護業界でM&Aを検討されている方にとって、信頼関係の構築と経営効率の改善が成功の鍵となることを示す事例です。