売り手様は、地元でさまざまな事業を展開する比較的規模の大きな中堅企業です。本件はコロナ禍に起きた事案でした。コロナの影響で非常に財政状況が厳しくなり、本業回帰するために本業以外の事業を売却する決断をされました。
その中で、売却対象となった事業を継続したいという地元の観光業者が現れ、ノンコア事業である観光施設を売却する運びとなりました。
売り手様は交通関係の会社で、コロナの影響で売上が激減し、債務超過に陥るリスクがある状況でした。特に、売却を検討していた事業は、大きな赤字を出していました。また、それに引きずられる形で急速に本業の業績も悪化して厳しい状況に追い込まれており、そのことがオーナー様にとって最大の不安要素でした。本業を守るためにノンコア事業を売却することが、急務となっておりました。
売り手様は歴史ある地元の名門企業で、単純に事業を撤退するとなると大きなニュースとなってしまいます。また、買い手様が見つからなければ事業そのものが消滅し、地元へも非常に大きな影響が出ることになります。
その中で、事業を撤退したというニュースが大きく取り上げられず、スムーズに事業を引き継いでくださる買い手様が現れる形になるように、ディールを進めていきました。
ホテルや旅館、観光施設などの観光事業におけるM&Aは、地元企業同士で行われるケースが非常に多くなっています。その理由は、「地元を盛り上げていきたい」という思いがあるからです。観光業は地元を盛り上げる産業であり、その思いに共感しやすいのは、やはり同じ地元の会社です。そのため、まずは地元を中心に買い手様を探しました。その中でも、「事業を継続し、守っていきたい」という意思を示してくださった会社を選定しました。
観光業は多くの場合、赤字で固定資産も少ないため、事業評価が非常に難しくなっています。どの程度の金額で売買すべきか値付けが非常に難しい中でも、合理的な根拠を見つけ出し、双方が納得できるような形に持っていく必要がありました。この点には、特に気を配りました。
やり取りの中で、価格が本当に妥当なのか、売り手様と買い手様の双方が疑問を感じてしまうと、些細なことが不信感に繋がりかねません。その点に配慮しながら慎重にディールを進めたことが、印象に残っています。
譲渡価格に関して、双方が納得できるように慎重に進めたことが大きなポイントでした。実際の譲渡価格は非常に安い金額ではありましたが、買い手様が「事業を継続して地元経済を盛り上げたい」という熱意示したことで、売り手様も「安い価格であってもお譲りして事業を続けてほしい」と納得し、ディールが成約しました。
地元での事業撤退がニュースで取り上げられることを回避でき、風評被害が生じることもなく事業をスムーズに譲渡できた点に、ご満足いただけたと思います。
当然現在も観光施設として営業を継続しており、M&Aが成立した後には「青木さん、ぜひ来てください」とお声がけをいただきました。遠方にあるため、まだ訪れることはできていませんが、うまく事業承継が行えて営業できる体制が整っているようです。
観光施設やアクティビティ施設の売却ニーズは、全国的にあると思います。ただし、観光業が他の事業と異なるのは、その事業が地域で継続されるかどうかによって、地域経済に与える影響が非常に大きいことです。そのため、単なる他地域からの事業拡大を目的とした買収よりも、「地域の経済を盛り上げたい」という情熱を持った買い手様への売却が、結果的にうまくいくケースが多いように感じます。
株式会社アルファコンサルティング
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