譲渡額
非公表
売上高
非公表

ホテル業界の事例

迅速なM&Aで地域企業を救う:旅館業の成功事例

エリア
中部
オーナー
60代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
会社分割

青木 康弘

株式会社アルファコンサルティング

旅館M&Aのきっかけ:オーナーの病気と後継者問題

― ディールの概要を教えてください。

今回のディール対象となったのは旅館で、売り手様は北陸地方で旅館を経営している中小企業です。
M&Aのきっかけは、売り手オーナー様がご病気になられたことでした。オーナー様にはお子様がいらっしゃいましたが、性格的に経営者にはあまり向いていませんでした。また、非常に借り入れも多く、自分たちで事業を継続するのは難しい状況でした。こうした背景があり、地元で
複数店舗の旅館を経営している同業者へ、売却することになりました。

― 売り手のオーナー様は、どのような不安や課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。

オーナー様は病気を患われたことにより、将来に対する大きな不安を抱えていらっしゃいました。病状が進行する中で、時間をかけてゆっくりと進めることはできず、できるだけ早急にディールを進める必要がありました。病気の問題が、オーナー様の大きな不安要素とな
っていました。
さらに、経営者として身内に頼れる方がいないという問題もありました。これは中小企業特有の課題で、非常によくある話です。オーナー様自身は非常に優れた経営能力を持ち、事業を拡大されてきたものの、ご家族にはその事業を引き継ぐだけの能力や意思がなく、性格的にも向いていないケースは少なくありません。この点も、オーナー様にとっては、大きな不安材料となっていたのではないかと思います。

株式会社アルファコンサルティング 青木 康弘様

金融機関との連携:売却プロセスと債務整理

― そのような不安や課題に対して、アドバイザーとしてどのようなサポートをされましたか

今回の案件では、金融機関と連携して売却時に法人の金融債務や個人保証の整理を行い、売却した時にオーナー様の負担が残らないように進めていきました。これはよく使われている「第二会社方式」という手法です。事業を「グッド」と「バッド」の2つに切り分け、グッドの旅館事業は売却し、残債については特別清算を実施しました。また、個人保証については銀行と調整を行い、自己破産に至らないように配慮しました。


価格交渉の壁を乗り越えて:地方銀行と買い手の合意形成

― 今回の案件で最も印象に残っていることや難しかったポイントを教えてください。

このタイプの案件特有の難しい部分なのですが、地方のホテル・旅館業は地方銀行の影響が非常に強いです。かつ、土地・建物の担保評価は比較的高めに設定されています。そのため、譲渡によって最低でも担保評価を超える返済ができなければ、なかなか担保解除には応じてもらえません。高い金額となると、買い手様にも借り入れの負担がかかることになります。結果として、経済合理性から見た相場価格よりも高い価格での取引となったため、合意形成は難航しました。

― 今回の案件が成功した要因はどこにあると思われますか。

売り手様と買い手様は同じ地元の同業種ということもあり、普段の交流はなかったものの、お互いの人となりを理解できていました。そのため、取引を進める過程で不信感が生じなかったことが、成功の最大の原因だと思います。


成功のカギ:地元度業者との信頼関係と協力体制

― 売り手オーナー様が最も満足されたポイントを教えてください。

最大のポイントは、売却後のオーナー様の生活が守られたことです。通常であれば、会社の借り入れの問題も解消できず、個人としても自己破産を余儀なくされる状況に陥るケースが多くなっています。しかし、今回の事案ではそのような状況を回避することができました。売却後、オーナー様は別の地域に引っ越しをされたと伺っています。生活を継続できたことが、最も満足されたポイントではないかと思います。

― M&A後のアフターストーリーをお聞かせください。

私の知る限りでは、売り手オーナー様のご子息が買い手企業に就職し、管理職として活躍されていると伺っています。また、資金力のある会社に買収されたことにより設備投資が可能となり、現代的な旅館へ生まれ変わったとも聞いています。

― M&Aを検討されている方へメッセージをお願いします。

中小企業のM&Aは、オーナー様の個人的な事情や家庭の事情により、外部への売却を余儀なくされるケースがあります。その際、単に金銭面だけでなく、売却後のご家族の生活をどのように守っていくかが非常に重要なポイントとなります。だからこそ、売り手様の事情にしっかりと配慮してくださる買い手様と、うまくマッチングしていくことが大切だと思います。