本案件は、親族内承継を希望しながらも、事業規模の大きさや引き継ぎ方法に課題を抱えていたケースでした。当初は通常の事業承継の形を模索しましたが、長男様・次男様ともに全事業を引き継ぐことには不安がありました。そこで、M&Aのスキームを活用し、事業を分割することで、それぞれが無理なく承継できる体制を整えることができました。
結果として、オーナー様はご子息への承継を実現でき、後継者であるご兄弟も自分たちのスケールに合った形で事業を継ぐことができました。また、会社分割後も兄弟それぞれの事業が連携し、相乗効果を生み出していることは大変印象的です。
M&Aは単なる「会社の売買」ではなく、事業承継を柔軟に実現するための有効な手段となり得ます。特に親族内承継においても、規模や経営の形を見直すことで、新たな可能性が広がることを本案件が示しています。事業承継に課題を感じているオーナー様には、ぜひM&Aの活用も選択肢の一つとして検討していただきたいと思います。
本案件は、もともと従業員承継を希望されていたオーナー様が、さまざまな事情から第三者承継に舵を切ったケースでした。当初はM&Aに対して慎重な姿勢でしたが、売却の選択肢を広げるために「事業譲渡」や「会社分割」というスキームを活用することで、最適な承継を実現できました。
売上20億円規模の企業をそのまま売却するのは難しい状況でしたが、建設部門と不動産管理部門を切り分け、それぞれ別の買い手様に引き継いでいただくことで、スムーズなM&Aにつながりました。また、売却後も従業員の将来を考え、売り手オーナー様が信頼していた部下の方が、買収先の企業で役員として迎え入れられたことも大きな成果のひとつです。
M&Aは単に会社を売却する手段ではなく、事業の継続や従業員の将来を守るための柔軟な選択肢を提供できます。特に事業承継に悩まれている経営者様には、「従来の方法だけにこだわらず、新たなスキームを活用することで、最適な承継が可能になる」という点をお伝えしたいです。事業の継続性や従業員の未来を守るためにも、M&Aの可能性をぜひ一度ご検討いただければと思います。
関東にて、福祉事業を展開されておられた代表者様(50代)が、当時手掛けておられた
(1)就労継続支援事業
(2)グループホーム運営事業
(3)放課後等デイサービス事業
の内、『事業の選択と集中』の観点から、上記(3)の事業を売却したいと、当社に御相談いただいたことが、本件のきっかけでございます。
一方で、同じ関東にて、福祉事業(児童発達支援事業)を手掛けておられた代表者様が
『児童福祉事業の拡大』との観点から、御関心を示していただき、当初は【事業譲渡】にて、検討を開始いたしましたが、その後、売却事業者様側の金融機関様からの御意向である『円滑な借入金名義変更』を受け、急遽【新設分割+株式譲渡】にスキーム変更の上、1年超のスケジュールにて、クロージングに至ったものでございます。
今回の案件では、売り手企業の「本業集中」と買い手企業の「エリア拡大」という双方の目的が、M&Aを通じて高いシナジーを生み出した点が印象的です。特に、売り手企業が特定のエリアで築いた強みと、買い手様が広域展開を進める中でそのエリアを補完したいというニーズが、ピンポイントで一致したことが成功の鍵となりました。
また、売り手企業がM&Aに対する不安を抱えられていた中で、アドバイザーとして最初から「M&Aありき」ではなく、事業成長の選択肢を比較しながら進めました。このプロセスによって、売り手企業が納得感を持って意思決定できたことが、スムーズなM&Aの実現につながったと考えます。
加えて、買い手候補の探索において、エリア特性と買い手のニーズを的確に見極めた点も本案件の成功要因の一つです。運送業界では、単に売上規模の大きな企業が良い買い手とは限らず、エリア戦略や事業の方向性が合致することが重要です。今回のように「偶然」の出会いが生まれた背景には、適切な買い手候補のターゲティングと、戦略的なマッチングの努力があったからこそ実現できたのではないでしょうか。
譲渡後も、売り手企業が残した事業に集中でき、買い手様も新たな市場で事業を強化できた点は、まさにM&Aの理想的な形です。運送業に限らず、事業の選択と集中を考えられている経営者にとって、本件より参考になる点があれば幸いです。